「持ち家、賃貸論争は不毛」 高齢で「住まい難民」にならないための四つのポイント

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空き部屋にハクビシン

 ――高齢者の賃貸物件事情はよく分かったが、結局、持ち家派には関係ないのではないか。そう感じた人もいるかもしれません。しかし、私は本稿の冒頭で、持ち家派であってもいま暮らしている家が「ついのすみか」であるという保証はありますか?と問いかけました。

 仮にあなたが30歳の時に新築マイホームを購入したとして、80歳になった時にその家は“50歳”を迎えています。その時、外観はもちろん、水回りなどの内装もかなりガタがきているはずです。中古物件を購入したのであればなおさらで、やれ外壁工事だ、内装工事だと、場合によっては数百万円の出費を余儀なくされることもあるでしょう。子どもたちが巣立ち、ただでさえオーバースペックになっている上に、このように“金を食う”持ち家に、果たして人生の最後まで住み続けられるでしょうか? ちなみに住まいは生き物ですから、人が使わないスペースがある、つまり家の中に、かつては子ども部屋であったがいまは空き部屋というような空間ができてしまうと、老朽化のスピードは速くなります。

 従って、持ち家派の人であっても、本当に住み替えずに、人生の最後までその家に住み続けられるのか、自分とその家の年齢を十分に比較検討しておく必要があるのです。実際、持ち家である一軒家の老朽化が進んでいるものの、持ち主の高齢者には修繕費がままならず、それを放置して暮らし続けた結果、空き部屋にハクビシンが住み着いていた――というケースを私は目にしたことがあります。なお、その家は田舎ではなく、東京都世田谷区にありました……。

「住活」が欠かせない時代に

 わがマイホームは分譲マンションで、他の住民と助け合えるから大丈夫。そう考えている人も注意が必要です。今後、物価高がますます進み、マンションの修繕費の積み立てが不足する危険性や、外国人所有者が増えたりして、修繕などを協議する理事会がスムーズに進まなくなるケースが増えるというリスクをどこまで想定しているでしょうか。

 人生100年時代、「私たちの寿命」は延びていますが、あなたの「住まいの寿命」は果たしてそれに追いついているか。持ち家派の人も考えざるを得ない時代になっているといえます。あなたが亡くなるよりも早く、マイホームが朽ちてしまうかもしれない。その前に、ついのすみかとしての賃貸物件への転居も視野に入れておくべきではないでしょうか。できればまだ体が動く50代、遅くとも判断能力がしっかりとしている60代半ばまでに。

 超高齢社会のいまは、「終活」の一つとして最後まで住める家の確保、すなわち「住活」が欠かせない時代だと私は考えています。

太田垣章子(おおたがきあやこ)
司法書士。1965年生まれ。2001年に司法書士試験に合格し、06年に独立。賃貸不動産経営管理士でもあり、合同会社「あなたの隣り」代表社員を務める。家主側の訴訟代理人として家賃滞納物件の明け渡し手続きを約3000件担当。『老後に住める家がない!』『「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33』などの著書がある。

週刊新潮 2026年4月16日号掲載

特別読物「『持ち家派vs.賃貸派』論争は不毛 人生100年時代で考える『終の棲家』対策」より

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