「持ち家、賃貸論争は不毛」 高齢で「住まい難民」にならないための四つのポイント
貸す側が恐れる高齢入居者の孤独死
世の中、「お金次第」という面があるのは否めません。ついのすみかの確保に関しても、お金があるに越したことはないのが現実です。
とはいえ、いくら蓄えや資産があってもどうにもならないことがあるのが、ついのすみか問題の厄介なところです。
結論から申し上げると、持ち家派も賃貸派も、60代後半になり、何らかの事情で新たについのすみかを借りようとしたところで、極めて難しい。家主や不動産会社、管理会社など物件を貸す側は、借り主が高齢者という理由“だけ”で、他にいくら条件が整っていても貸したがらない。これが現実なのです。
誤解を恐れずに言えば、家主側にとって高齢者に家を貸す行為はリスクでしかありません。もちろん、若い人より長く住んでくれる傾向があったり、足腰が弱くなっているため、治安などの面から若年層が嫌がる1階の物件にむしろ好んで入居してくれたりするというメリットもあります。しかし、それ以上にデメリットが大きい。
それは、ずばり年齢そのものです。若者と違って高齢者は心身共に衰えていくばかりです。そして、入居していた高齢者が認知症などになったら、家主側は大変な面倒を抱え込むことになってしまいます。
とりわけ家を貸す側が恐れるのが、高齢入居者の孤独死および、それに伴う「事故物件化」です。2021年に策定された国土交通省のガイドラインにより、病気などを理由とする孤独死では事故物件とはならなくなりましたが、発見が遅れて遺体の腐乱などが進み、特殊清掃が必要となった場合は事故物件としての告知義務が生じます。
いずれはおひとりさま
高齢入居者には、常にこの事故物件化リスクが伴います。ご夫婦で入居される場合でも、高齢であれば「いずれはおひとりさま」の現実が迫っています。このようなリスクを考慮すると、是非は別として、家主側が高齢入居者を受け入れたがらない事情も理解できるのではないでしょうか。
また、仮に事故物件化しなくても、家主側にとってはやはり高齢入居者のリスクは高いと言わざるを得ません。意外に多くの人が知らないのですが、預貯金や借金と同じで、実は賃借権も相続されます。つまり、独居高齢者が亡くなった場合、賃借権はその高齢者の兄弟や子どもに相続されるため、家主側は相続人を見つけ出さない限り、勝手に契約を解除できない。従って、すでに住む人がいない物件であるにもかかわらず、新たな居住者を招き入れることができないという事態が往々にして起きてしまうのです。
しかも、私のような司法書士などに依頼し、住民票や戸籍をたどるなどしてどうにか賃借権の相続人を探し出したところで、面倒には関わりたくないので賃借権は放棄するから後はよしなに、という相続人も残念ながら少なくありません。
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