「持ち家、賃貸論争は不毛」 高齢で「住まい難民」にならないための四つのポイント
「高齢者に貸すぐらいなら空き室の方がマシ」
こうして、亡くなった高齢入居者が残した家財道具の処理や、場合によっては特殊清掃の費用などを、結局は家主側が泣き寝入りして負担せざるを得ないケースが出てきます。その額は高いと数百万円に達することもあります。地主の「お金持ち」が家主であるならばいざ知らず、資産運用目的で不動産を所有しているサラリーマンオーナーであれば、その負担額は致命傷になりかねません。
以上のような事情から、家主や不動産会社、管理会社は、高齢者という理由“だけ”で入居を拒否することが多いわけです。実際、積極的に高齢者を受け入れている事業者はわずか7.6%という調査結果があります。私の現場感覚でも、70代になると、家を借りたいと不動産会社に連絡しても応対してくれるのは50件のうちわずか2~3件程度です。「高齢者に貸すくらいなら空き室のほうがマシ」と“リスクヘッジ”する家主さんたちが多いのが実態なのです。
いやいや、いくら高齢者とはいえ、資産があれば大丈夫でしょう――そう高をくくっている人がいるとしたら要注意です。事実、こんなケースがありました。
ご主人を亡くした78歳のある女性は、2人の子どももとうの昔に独立していたため、5LDKの一軒家を売却し、手ごろな賃貸物件への転居を希望していました。
門前払いされないために
自宅を売却すれば少なくとも数千万円にはなり、ご主人が残してくれた資産も5000万円は下らない。多少とはいえ遺族年金ももらえる。恵まれた女性といえるでしょう。
しかし、1人暮らし用の賃貸物件を探そうと賃貸仲介店舗に入ってみたら、貸せる物件はないと、まさかのゼロ回答。資産があり、離れて暮らしてはいるもののいざとなったら頼れるお子さんがいるのに、相手にしてもらえなかったのです。その仲介店舗は、資産などの「状況」を聞く前に、女性の年齢“だけ”で判断したものと思われます。事実上の門前払いです。繰り返しになりますが、良しあしは別として、こうしたケースがままあるのが、高齢者が家を借りる際の偽らざる現実なのです。
では、こうした厳しい現実を踏まえた上で、“ついのすみか難民”にならないためには、どのような対策が必要なのでしょうか。以下に「四つのポイント」を紹介したいと思います。
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