話題の「年収1000万のタクシードライバー」はごくわずか…日本で「ブルーカラー・ビリオネア」が誕生しない“当然の理由”

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「ミスリードで感じる侮辱感」

 こうした説明は、「せっかくブルーカラーに光が当たっているのに水を差す気か」と言われるかもしれない。が、特定の地域や事例を挙げ、いいとこ取りのチェリーピッキング(情報選択)をすることは、世間をミスリードさせるだけでなく、ブルーカラーの現場に対する軽視につながりかねない。

「ホワイトカラーが稼げなくなるから、時代はブルーカラーだ」という安易な考えには、現場へのリスペクトを全く感じられず、「誰にでもなれる職種」と暗に示しているようにも感じる。そうなれば、ブルーカラーこそ「誰にでも代替できる仕事」となってしまう。

 ブルーカラーが今、猫の手も借りたいほど人手不足に喘いでいることは間違いない。が、その突破口として「ホワイトカラーの衰退」に甘んじてはいけない。「待っていれば嫌でも人が来る」という機運に驕ってしまえば、日本のブルーカラーの技術力はますます低下すると強く懸念している。

 次回はタクシードライバーの現状を掘り下げたい。

橋本愛喜(はしもと・あいき)
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許を取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働問題、災害対策、文化差異、ジェンダー、差別などに関する社会問題を中心に執筆中。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書)、『やさぐれトラックドライバーの一本道迷路 現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます』(KADOKAWA)

デイリー新潮編集部

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