穏やかな再婚生活を送っていたのに、6年ぶりに元妻と再会。「間違っていた」と泣かれて…「まだ間に合うのか」39歳夫の乱された心

  • ブックマーク

「娘のためにやり直して」「再婚しちゃったんだよ」

 由希乃さんは一気に話し、祐汰さんに頭を下げたそうだ。ようやくわかってもらえたと思うと体中から力が抜けた。

「娘はもうじき小学校に入る。会いに来てくれたらうれしいと由希乃は言いました。今さらと思ったけど、やはり娘には会いたかった。産まれたばかりの娘の柔らかさが手によみがえってきた。由希乃は写真を見せてくれました。由希乃にそっくりなかわいい子でした。でも会いに行っても父親だと思ってくれるかどうか……。怖いと正直に言いました。『私はあなたの悪口は一切言っていない。事情があって離れているだけと伝えてある』と。『私は今でもあなたしかいないと思ってる。今さらこんなことを言えた義理じゃないけど、娘のためにやり直してもらえないかしら』と由希乃は言いました。もう少し早く言ってくれればよかったのにと泣きたくなった」

 再婚しちゃったんだよと祐汰さんは小さな声で言った。由希乃さんは息を飲んだが、「そうよね。あなたがひとりでいるとは限らなかった。ごめんね、忘れて」と言った。忘れてと笑いながら由希乃さんの目は濡れていた。

「それを見たらぐっときちゃって。僕が好きなのは由希乃なんだと、改めてわかってしまった。今まで封印してきた由希乃への思い、娘への愛情なんかが一気に体中からあふれて」

 娘に会う日は改めて決めようと言って、その日は別れた。それ以来、祐汰さんの頭の中は由希乃さんと娘のことでいっぱいになった。

再会は瑠莉さんに言えない…

 1週間後、彼は娘に会った。由希乃さんが「パパだよ」というと彼女は最初、母の後ろに隠れるように立っていたが促されて顔を覗かせ「パパ」と言った。それがかわいくて思わず近寄り、「長いこと会えなくてごめんね」と抱きしめた。

「パパは仕事が忙しくて、ずっといなかったんでしょと娘が言いました。そういうことになっていたようです。その日は3人で食事をしました。娘は大好きなアニメのことや、習っているピアノのことなどをずっとしゃべってた。『いつもはこんなにおしゃべりじゃないのよ』と由希乃もうれしそうで」

 由希乃さんと娘に会ったことは、どうしても瑠莉さんに言えなかった。瑠莉さんなら「いいじゃない、たくさん会えば」と言うのはわかっている。だが、祐汰さんの「下心」が正直に言うことを妨げた。

「由希乃とやり直せないかと僕も思い始めてしまったから。瑠莉には感謝しているけど、僕が本当に愛しているのは由希乃と娘だとわかってしまったから。ただ、瑠莉に離婚してほしいとは言えない」

「きっかけ」を探す

 瑠莉さんはまだ子どもはいらないという理由でピルを飲んでいる。だが勝手にピルをやめられたらどうしようと思うと、怖くてベッドで役立たなくなった。瑠莉さんは「疲れてるんじゃない?」と心配してくれたが彼を責めはしない。それがさらに祐汰さんを苦しめた。

「由希乃はもうやり直してとは言いません。僕ができる範囲で娘に会ってくれればいいと。でも会えば会うほど娘はかわいいし、由希乃への気持ちもよみがえる。今ならまだ間に合うんじゃないかと思いながら、瑠莉に離婚を切り出すなんてできない……」

 義妹との不倫関係を疑われたところからすべては始まった。さまざまな嘘と、心の闇がおりなした長い期間のドラマのような話だが、祐汰さんの心は大きく由希乃さんに傾いている。

「ここで自分をごまかしたら、きっと後悔する。日に日にその気持ちが濃くなっています。あとはきっかけがあれば……」

 おそらく今日も祐汰さんは葛藤しながら1日を過ごしているだろう。タイミングを逸しないようにと願わずにはいられない。

***

 祐汰さんの心は、前妻と娘へと傾いている。だが、瑠莉さんが彼の決断を受け入れられるとは限らない。“前妻の妹”が引き起こした悲劇は、何の罪もない瑠莉さんをも苦しめようとしている――。その始まりは【記事前編】で紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。