穏やかな再婚生活を送っていたのに、6年ぶりに元妻と再会。「間違っていた」と泣かれて…「まだ間に合うのか」39歳夫の乱された心
突然、前妻が現れて
瑠莉さんの昇進と結婚は社内で同時に発表され、周りも祝福してくれた。いつの間にか祐汰さんの離婚にまつわる噂は消え、逆に「最初の結婚でひどい目にあった人」ということになっていた。噂なんてそんなものですよねと祐汰さんは少し笑った。
「新婚生活とはいってもふたりともめいっぱい仕事。でも週末は一緒に料理したり、映画を観に行ったりとメリハリのある生活でした。何より瑠莉と一緒にいると、子どものころのように自由な気持ちだった。言いたいことが言えて、ふたりで笑い合える。これが幸せというものなんだと痛感しました」
穏やかな日常生活が続く中、1年ほど前のある日、前妻の由希乃さんが突然、会社へ祐汰さんを訪ねてきた。外回りから戻って受付に彼女を見つけたとき、祐汰さんは思わず立ち止まって動けなくなった。何かを感じたのか振り向いた由希乃さんと目が合った。
「ふたりとも固まってしまって……。別れてから6年以上の月日がたっていたのに、気持ちはつきあっているときに戻っていた。由希乃は僕の前にやってきて、『私が間違っていた。ごめんなさい』と」
由希乃さんが涙ながらに語ったことは
近くの喫茶店に移動してふたりで向き合った。由希乃さんの目からぼろぼろと涙がこぼれていた。
「つい最近、義父が亡くなって、家の中で美冬の立場が微妙になった。義母はやはり美冬を心から愛してはいなかったから。そこで義母と美冬が口論となり、とうとう美冬が全部話したんだそうです。あのとき自分がしたことを。『私には子どものころからおねえちゃんしか味方がいなかった。だからおねえちゃんが結婚したら私はひとりぼっちになってしまった』と泣きながら義母を責めたようです。瑠莉が言うように、やはり美冬は由希乃を取られたくなかったんでしょう。しかもそこには複雑な気持ちがあったようです」
由希乃さんしか味方がいない。その由希乃さんはいつも優しかったけど、その優しさが「上から」だったと。あたかも何かを施すかのように、由希乃さんは美冬さんに愛を与えたというのが美冬さんの言い分だった。由希乃さんにそんな意識はなかった。ただ、母に疎まれていた幼い美冬さんがかわいそうだと思っただけだ。だが、それが美冬さんにとってはありがたいと同時に屈辱でもあった。だからきっかけがあれば、由希乃さんを苦しめたいという気持ちが心のどこかに巣くっていたのだ。
「由希乃が妊娠して、美冬は心が乱れたんでしょう。僕を陥れて離婚させようとした。ただ、由希乃が言うには、美冬は本当にあなたが好きだったのかも、ということでした。いずれにしても美冬を信じてやらなければいけないという由希乃のいつもの心のありようが、僕を排除することにつながった。あのときは何も考えられなかった、とにかく美冬を助けなければと思ったそうです」
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