都市部で急激に進む「バス減便」 東京23区なのに路線が消滅した「世田谷」の実情
世田谷・深沢で何が起きているのか
ここまで見てきた変化は、統計の世界から抜け出し、街の中へと視線を移すと、より具体的な形で現れていることが分かる。
世田谷区の深沢~駒沢周辺は、鉄道駅から距離がある一方で、低層住宅が広がる住宅地であり、バスが主要な移動手段となっているエリアである。こうした条件に当てはまるエリアは首都圏に広く見られ、世田谷区・深沢の事例は「バス便住宅地」に共通する問題を浮き彫りにする。
なお、このエリアの路線バスは東急バスがほぼ一手に担っており、同一または類似ルートを他社が補完する関係にはない。
地図で見ると、同じ停留所でも役割は分かれる。
渋谷と世田谷南部を結ぶ「渋82」路線は幹線として機能し、朝ピーク18本、日中31本と高頻度が維持されている。
一方、世田谷方面へ北上するルートを通る「等11」・「等13」は補完路線として位置づけられ、本数は朝5本、日中12本にとどまる。2022年時点ではそれぞれ6本、14本であり、いずれも減少している。間隔は30分前後まで開き、最終も早い。ちなみに「等」は等々力の頭文字である。
※本数は、深沢不動前から「駒沢~世田谷方面へ北上する区間の移動手段」としての実態を比較するため、「等11」・「等13」を合算している。
つまり幹線の本数は維持される一方、補完路線の本数はかなり少なくなっているのである。
都立大学駅と成城学園前駅を結ぶルートを通っていた「都立01系統」の2021年廃止は、採算性(利用者減少)を背景としたものである。一方、現在の深沢で起きているのは、それとは性質の異なる運転者不足による供給制約である。廃止理由そのものが変化している。
同じ地域の中で、路線によるバス本数の濃淡が広がり、さらには路線自体が消える段階に入っていることを示している。
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