「日本の不動産価格はこれからも下がらない」 中国人が「日本は割安」と断言して「逃資(とうし)」するこれだけの理由
「蟻族(イー・ズー)」
さらに陳氏は最近生まれた特殊な事情について説明した。それは中国国内の就職難である。
中国では6月が卒業シーズンに当たる。2022年には大学卒業者が初めて1000万人を突破した。日本の24年の大学卒業者は約60万人だから、16倍の規模になる。
コロナ禍の都市封鎖やゼロコロナ政策の影響で採用枠は減少しているのに求人数だけは増えている。結果、23年6月、中国国家統計局が発表した若者失業率は、21.3%で過去最高を更新した。
都市部では、大学を卒業したものの、安定した仕事に就けず低賃金で働く若者をさす「蟻族(イー・ズー)」という言葉も生まれたそうだ。「996」という隠語もあり、朝9時から夜9時まで週6日働くという意味だ。
陳氏によると、そういう状態で中国にいるより、2~3年日本に留学して日本語を学んだり自らのスキルや能力を高めたりしながら中国経済が戻るのを待つ……という人々が増えているという。そうした人々が日本にいる間に住む家としてマンションを買ったり、借りたりするだろう。陳氏は、「数万人という単位で日本に来る可能性もありますよ」と話した。
復活しない上海経済
さらにアメリカで学生ビザを取り消された引き揚げ組が日本にやってくる可能性もある。2025年、トランプ政権は中国人留学生のビザの取り消しや審査強化を実施している。
私は2025年11月23日から25日まで、上海を訪れた。11月7日のいわゆる「台湾有事」をめぐる高市発言で中国との関係が緊張していた頃だった。経済・金融の中心である上海に行ったのは15年ぶりだったが、かつて見たその勢いはまったくなかった。
2021年に開業した、延べ床面積30万平方メートルの巨大デパート「天安千樹」にも行ったが、表参道ヒルズよりはるかに大きな施設にも関わらず、冗談抜きで客は4~5人しかいなかった。天井まで届きそうなクリスマスツリーが寂しく点滅しているのを見て、クリスマス商戦ど真ん中だと気づいたほどだ。
宿泊したマリオット系列のホテルは1泊1万円だった。景気がいい頃は、3万円以上はしたようだが、コロナ禍で旅行者が減った影響をいまだに引きずっていた。
上海では、ドンという名の男性と会った。複数の仕事を持っており、その一つに不動産業があると話した。
ドン氏は復活しない上海経済を嘆いていた。それでも、現地のマンション価格は東京の平均よりずっと高いと話した。
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