「日本の不動産価格はこれからも下がらない」 中国人が「日本は割安」と断言して「逃資(とうし)」するこれだけの理由
香港の富裕層の動機とは
香港の富裕層が一目散に資産を移そうとする動機は何だったのか。
豪邸投げ売りが始まったのは2022年ごろからだった。ちょうどコロナ渦だ。上海の完全ロックダウンによって景気が減速しているという報道を日本でもよく耳にした。
その前年の2021年には、従業員20万人を抱える不動産会社「恒大集団」の経営危機が頻繁に報じられていた。2021年9月21日、日経平均株価は601円安となって3万円を下回る2万9898円になり、「恒大ショック」といわれた。その後の2023年8月18日、同社はニューヨーク連邦破産裁判所に破産法の適用を申請するに至るが、2021年や2022年の時点で、その「Xデイ」がいつ来るのか、破産時の影響はどれほど甚大かがしきりに騒がれていた。
富裕層を動かしたのは、こうした景気や経済の不振だけではない。
2019年6月9日には香港で大規模なデモが起きた。中国が導入を決め、香港で施行された香港国家安全維持法がその背景にあるとニュースは伝えた。100万人を超える市民が参加し、警察とデモ隊の激しい衝突映像も流れた。
「自由闊達で東洋と西洋の文化が混ざり合う、活気に満ちたチャンスの街だった香港は死にました」。簡氏は当時を振り返り言った。
愛した香港がなくなる
私が滞在した間でも、毎朝7時と8時のニュースが始まる際に国威発揚を思わせる軍の映像と中国国歌が流れ、アナウンサーの言葉はわからなかったが、習近平国家主席を礼賛する内容であることは感じ取れた。
「中国政府の支配下になったらどうなってしまうんだ」――そんな危機感が富裕層の間で流れ始めていた。
「一国二制度だっていとも簡単に破られたじゃないか」「政府が資産を没収するということだってあり得るぞ」
自分たちが愛した香港がなくなってしまうなら、そこにいる意味はないと感じ始めていたのだ。こうして徐々に醸成されていった「逃資」の機運は、私が香港を訪れた2024年11月ごろ、ピークに達していたと思われる。
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