「日本の不動産価格はこれからも下がらない」 中国人が「日本は割安」と断言して「逃資(とうし)」するこれだけの理由

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資産の行き先が東京だった

 そうした資産の行き先の一つが、東京だった。

 東京の新築分譲マンションの平均販売価格は、2023年6月に初めて1億円の大台に乗り、1億2962万円をつけた。しかし香港の不動産を売却して100億円の資産をもつ富裕層からすれば安く見えたことだろう。なんといっても香港での1億円は、駐車場1台分だ。

 この頃、ドル円は23年6月初めが139円で、月末には144円になるほど、円安へ一気に進行していた。このため、「割安で質よし」に加えて「買いやすい」の三拍子が揃っていた。

 拙著にも書いたが、「世界中で健康な不動産マーケットは日本だけ。中でも東京は強いです」と断言した中国人(陳海鋒氏)がいた。彼は香港や中国本土から東京の不動産を買いに来る投資家たちの仲介を生業としていた。

 私は尋ねた。

「日本は税金が高い国です。いくら簡単に所有権を持てると言っても東京以外にも魅力的な都市、ニューヨークやシンガポール、ドバイ、経済発展途中の東南アジアの都市などいくらでもあります。なぜ香港人や中国人は東京を買うのですか?」

日本が世界一

 その理由を陳氏はこう話した。

「確かにニューヨークは魅力的ですが、金利が6~7%と高いでしょう。それならドルを買って定期預金にした方がいいです。シンガポールは近くていいけれど、外国人が不動産を買う場合には60%近い税金が課せられます。加えてコロナ禍で不動産の値上がりが起き、すでに40~50%ほど高くなっているので買えません。
所得税や住民税、贈与税、相続税がないドバイも人気ではあるけれど、食事、インフラ、教育、医療、気候という生活面を考えるとちゅうちょします。ドバイは人種差別の意識も高くて、見た目が明らかに違う私たちは平穏に暮らせません」

 さらに彼は続けた。

「短期で値上がり益を取りたければ急発展を遂げるホーチミン、ジャカルタ、マニラ、クアラルンプールは有望株です。しかし生活の品質や健康的な暮らしの面で考えたらやはり東京の方がいい。税金は高いけれど、どこよりも安心して暮らせます」

 東京から新幹線に乗って国内旅行をすれば、食事、自然、温泉、祭りなど楽しい場所がいくらでもあるとも語った。

「だから不動産を買うなら、日本が世界一なんです」

 自国の魅力に気づいていないのは私たち日本人の方だったのかもしれないと思うほど、心を揺さぶる発言だった。

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