「シニア向けスマホはダメ」 家電マニア・勝間和代が教える、高齢者が取り入れるべきデジタル技術、家電とは

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スマホが深める親子の絆

〈シニア世代がスマホを持つ理由の第1位は、言うまでもなく家族との連絡だろう。離れて暮らす子どもとの連絡や、たまにしか会えない孫の顔を見る手段として、デジタルツールは頼もしい味方になる。スマホをはじめとするデジタルツールや最新テクノロジーは、長年硬直化していた親子関係や家族との向き合い方にも変化をもたらす可能性があると勝間氏は言う。〉

 89歳で亡くなった私の母もデジタル機器には疎かったのですが、それでも一応、携帯電話のメールだけは打つことができました。母にとっての携帯電話は、ただの機械ではなく、「家族と交流するための道具」だったのです。

「子どもと関わりたい」「孫と話したい」という目的が先にあれば、そのために必要な道具は多少のハードルがあっても案外使えるようになるものです。今の時代なら、LINEで話したり、ビデオ通話で孫の顔を見たりすることが、孤独を防ぐ手段にもなっています。離れて暮らす孫の七五三の動画を見るためにスマホを手にしたという話も聞きます。

 シニア世代の方には、あえて“下から目線”でお子さんやお孫さんに頼ることをお勧めします。親子というのは、その立場ゆえに関係がこじれることもあります。特に、「親が子どもに教わる」という構図に慣れていない世代には、せっかくのアドバイスを「そんなものは必要ない」とはねつけてしまっている方もいるでしょう。しかし、子どもにとって、親から「教えてよ」と頼られることは、決して嫌なことではありません。むしろ、普段は頑固な親御さんが「分からないから教えて」と素直に弱みを見せてくれることは、愛らしさや親しみやすさにつながります。「分からないから」と敬遠するのではなく、「分からないからこそ教えてもらう」。まずはお子さんやお孫さんに「教えて」とスマホを差し出してみてください。

論理的な説得ではなく、成功体験をプレゼン

 反対に「勧めてもなかなかスマホやデジタル機器やサービスの活用を検討してくれない」と悩む子どもの立場では、「便利になるよ」とか「月5000円安くなるよ」といった論理的な説得ではなく、具体的なメリットと成功体験をプレゼンするといいでしょう。一番簡単なのは「家族のLINEグループ」をつくることです。ペットの写真やお孫さんの動画、旅行のお土産話などが日々共有される場があれば、自分もそこに能動的に参加したいという強烈な動機になります。

 目的はデジタルを活用することではなく、テクノロジーをうまく使って、便利に、健康に、安全に、そして今より彩り豊かな生活を送ること。デジタルは若者の専売特許ではなく、むしろ、残された時間を誰よりも豊かに、そして安全に過ごしたいと願うシニアの可能性を広げるものなのです。

(構成・大塚一樹)

勝間和代(かつまかずよ)
経済評論家。1968年東京都生まれ。慶應大学在学中から監査法人に勤め、アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。3女の母。経済・教育・キャリア形成に関する発信に加え、合理的な暮らし方を追求するライフスタイル提案でも支持を集める。著書多数。YouTubeやSNSでも積極的に発信中。

週刊新潮 2026年3月26日号掲載

特別読物「家電マニア 勝間和代が絶対お薦めする『シニアのデジタル生活』」より

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