妻への贈り物を買いに行ったら“店員と客”以上の関係に…「これは運命だ」49歳夫が舞い上がった細かすぎる共通点

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この人は僕のソウルメイトなんだ

 男と女を惹きつけあうものは何なのだろうか。相手の状況もわからないのに、理性以前に感覚や体が反応するのはどうしてなのか。もちろん、そこまで感覚的に恋に落ちたことなどない人もいるだろう。その違いもまた何なのか。単に惚れっぽいということではないように思えてならない。

「その日、そのままホテルへ行きました。体と体を合わせることで、魂が行き交う感じがした。あんな感じも初めてでした。やはりこの人は僕のソウルメイトなんだと思った。彼女は3歳年下だったけど、誕生日が同じだったんですよ。生まれた時間もほぼ同じ、朝の6時半。そんなことって珍しいでしょう。彼女となら何があっても乗り越えて生きていける。そう確信しました」

 とはいえ、正貴さんには大事な妻と子がいる。ふたりは大切な存在だ。今まで一緒に生きてきた時間は愛しいものだった。好きとか嫌いを越えて、家族として重要なふたりには責任がある。その日帰宅すると、妻も娘ももう寝ていた。娘の寝室を覗き、布団をかけ直しながら正貴さんは、自分は何をしているのだろうと思った。他の女性にうつつを抜かしている立場にはないはずだと「常識」が働く。だが次の瞬間、瑠美さんに包み込まれた快感がよみがえる。単なる快感ではなく、まさに溶け合うような快楽だった。

「あなたを家族の裏切り者にしたくない」

 それ以来、ふたりは時間を見つけては会い、目と目を覗き込んで言葉を交わし、体を交えた。彼にとっては天国と地獄を行き来するような、楽しくてつらい日々だったという。

「彼女と会いたい、でも家族に申し訳ない。その繰り返しでした。そのうち、彼女に会うのもつらくなっていった。瑠美も同じ気持ちだったんでしょう。1年たったとき、お互いに『もう無理だね』と話し合って別れました。別れるのもつらかったですよ。半身をもぎとられるような感じでした。それでも、『あなたを家族の裏切り者にしたくない』と彼女は言ってくれた。最後は朝まで一緒にいて、彼女が一足先にホテルを出て行きました。僕はひとしきり泣いて、それから出社。妻には仕事が忙しくて、他の人とシフトを代わったとメッセージを送っておきました」

 その日の晩、家族3人で食事をしているとき、ふと「家庭を壊さなくてよかった」と思った。だが翌日になると「やっぱり彼女と一緒にいたい」と気持ちが揺れる。それでも仕事と家庭に気持ちを向けてがんばった。

「でも1週間たったところで我慢できず、彼女の職場に行ってみました。彼女はいなかった。他の店員さんに尋ねたら、彼女は家庭の事情で急に辞めたと。おそらく瑠美も耐えられなかったんでしょう。僕と出会った職場にいることじたいが」

 彼はとぼとぼと歩きながら、彼女のいない人生を歩む決意をした。それから1年後、彼と春佳さんの間には元気な男の子が生まれた。

 ***

 お互い後ろ髪をひかれながらも、関係を清算することを決めた正貴さんと瑠美さん。だが“運命の人”とのつながりは、これで絶えたわけではなかったようだ……。【記事後編】で、2人を待ち受ける思わぬ展開を紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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