「はしご車」が届くのは11階までが限界… 知られざる「タワマン火災」の実情

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統計が示す「タワマン火災」の発生件数

 では実際に、高層マンション火災はどの程度発生しているのか。

 東京消防庁の「令和7年版 火災の実態(確定版)」によれば、2024年に11階以上の住戸で発生した火災(69件)は、そのすべてが「部分焼」または「ぼや」で鎮火している。

 この数字が示すのは、高層住宅の火災が大規模延焼に発展しにくいという、都市構造の特徴である。耐火構造、防火区画、スプリンクラーなど複数の安全装置が重層的に働くことで、火災が建物全体へ広がる前に抑え込まれている。

 本稿のデータが示すのは、2026年の東京における「救助の物理的限界」である。

「30メートル級」のはしご車(10階相当)を標準とする体制は、この街が選択した「仕様」とも言える。火災が起きたら窓の外にはしご車が現れて助けてくれる、という期待から一歩離れる必要がある。

 データに基づいた冷静な認識が、高層階の平穏を支える。それは特別なことではなく、事実を知ることから始まるのである。

【著者プロフィール】
マン点(まんてん) マンションアナリスト。一級建築士。20年以上続けている不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」の管理人
X(旧Twitter):https://x.com/1manken

デイリー新潮編集部

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