とにかく怒鳴る、遅刻10分で罰金1000円、業績目的で偽装…「ブラックな職場」はなぜ映画に向いているのか【おすすめ作品5選】
「社畜」「ブラック企業」といった言葉は、いまやすっかり社会に根付いてしまった。労働環境に関する理不尽なニュースはおなじみとなり、周囲から話を聞く、あるいは実際に体験することも――。日本映画の世界でも度々テーマとなっている「ブラックな職場」、映画解説者の稲森浩介氏がおすすめの作品5本を紹介する。
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ブラック会社の本質が見える
〇「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」(2009年)
「ブラック企業」という言葉が、認知された要因の一つが本作だ。2008年のリーマンショック以降、雇用不安に拍車がかかり、ネット用語から一般的な言葉になった。
イジメが原因で、8年間ひきこもっていた26歳の大根田真男(小池徹平)は、一念発起してプログラマとなり、小さなIT企業に就職する。だがそこには、人を怒鳴りまくるだけでやる気もないリーダー・阿部(品川祐)をはじめ、クセ者ぞろいの社員たちがいた。度重なる嫌がらせにも負けず、黙々と仕事に取り組んでいたが……。
リアルに描きすぎるのを避けたのだろうか、どの社員も「こんなやついないだろう」というデフォルメがされている。唯一仕事ができてまともな藤田(田辺誠一)が、なぜこの会社にいるのかという謎が最後まで引っ張る。
ブレイク前の田中圭が、上昇志向の強い中途入社の木村を演じている。後半はこの木村が引き受けてきた案件が原因で、大騒動となる展開だ。
主役の小池徹平は、ウエンツ瑛士と組んだデュオ「WaT」で2005年にメジャーデビューをし大人気の頃だ。映画やテレビにも多く出演し「ホームレス中学生」(2008年)でも主演をし話題を呼んだ。
鑑賞中、この会社の問題点は明確なのに誰も修正しようとしないのが不思議だった。しかし、最後に社長(森本レオ)が発する一言が、ブラック企業の本質を表していることが分かった。そのシーンはエンディングロール後なので、お見逃しなく。
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