戸建て暮らしの40代シングルマザーがNG「保護猫譲渡会」の現実 飼育放棄は防ぎたいが厳しすぎれば生体販売へ…のジレンマ

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 散歩の必要がなく、留守番も得意。広いスペースがなくても飼育が可能といった条件から、猫は現代のライフスタイルに合った「理想的なパートナー」として、不動の人気を誇っている。今年も2月22日は「にゃんにゃんにゃん」の「猫の日」として盛り上がった。

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 猫を家族に迎えたいと考えた時、新たな選択肢として近年定着しつつあるのが「保護猫の譲渡会」だ。

 だが、「ペットショップよりも費用が抑えられる」「子猫がタダで手に入るかも」といった安易な動機で足を運ぶと、そのハードルの高さに驚くことになるかもしれない――。

「何が悪かったの?」

「近所に保護猫団体があると知り、里親募集に応募しました。でも事前のメールアンケートに答えたところ、参加を断られてしまいました」

 と、肩を落とすのは40代女性だ。都内の一軒家に暮らし、小学生の2人の子ども、70代の母がいるシングルマザーだ。

「昨年、同僚女性がもらい受けた保護猫が可愛かったので、近所の団体に申し込みました。彼女もシングルマザーで実家暮らし、大学生のお子さん2人がいて、わが家と条件が近かった。なのに、ウチは事前アンケートの時点でもうダメとは……。同僚はわりとすんなりもらえたと言っていたので驚きました。何が悪かったのでしょうか」

 よく似たケースにもかかわらず、片方だけが譲渡してもらえたとなると、女性にはどんなNGポイントがあったのだろうか。

 15年前から保護猫団体「しあわせにゃんこ」を主宰する山本紀之さんに話を聞いた。

「意外と多いのは、子どもの有無で断るケースです。自分の団体では、そこは気にしませんが、多くの猫はそもそも子どもが苦手。大きな声や予測のつかない行動が嫌いなので。あと、もしかするとシングルマザーということで“世帯年収”を気にした団体側が猫を出し渋った可能性も。残念ながら、いまだに貰い手として“40代夫婦・子どもは成人または独立済み・持ち家”を理想とする団体はとても多いのです」

 この女性のケースは、2人の子どもが小学生だったので、それが大きく影響したのでは……と山本さん。猫に直接ふれあう譲渡会では、子どもが興奮して大声を出したり、ケージを叩いたりしてしまうこともあるが……。

「でも大事なのは、そのときに親がしっかり子どもを叱れるか、落ち着かせられるか。そこを見極めて譲渡したいですね。本来、子育てでペットは大事な役目を持っています。猫の寿命は長くても20年程度。命を看取ることは、人格形成にもつながりますから」(山本さん)

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