戸建て暮らしの40代シングルマザーがNG「保護猫譲渡会」の現実 飼育放棄は防ぎたいが厳しすぎれば生体販売へ…のジレンマ
一律の条件よりも「人となり」に向き合う
一方で、前出・山本さんの団体は、比較的ソフトな方針をとっている。
「多くの愛護団体では『後見人のいない60歳以上』、『単身者』、『同棲カップル』、『子どものいる家庭』などがNGとされることが一般的です。しかし私は、そういった表面的な条件よりも、その方の『人となり』を何よりも重視して、譲渡先を決めています」(山本さん、以下同)
譲渡会での対話を通じて、その人がどれだけ猫に愛情を注げるか、また、猫を飼うことでその人がどれだけ幸せになれるのかを見極めるのだという。
「例えば、猫を家族として迎えるわけですから、食事は『エサ』ではなく『ごはん』と呼んでほしい。もちろん、はじめは『エサ』という認識でもいい、でもスタッフが『ごはん』と言うのを聞いて、『ごはん』呼びにすかさず改められるか……といった細かい点を注視します。スタッフとのやり取り、申込書への丁寧な記入などから、どんな人柄かを見ています。対話を重ねてその人を見極めることこそが、最大の虐待抑止に繋がると考えています」
柔軟な基準を設ける背景には強い危機感があるからだ。
「譲渡条件が厳しすぎるあまり、希望者が保護猫を諦めて、ペットショップに行くしかなくなるのです。飼いたいのに飼えず、“ほかに方法がなく”生体販売に流れてしまうことこそが、本当の問題だと思っています」
実際、山本さんの団体では、年齢や家族構成を理由に断ることはほとんどない。
「もし飼い主さんの身に何かあれば、いざという時は私が猫を引き取ります……そういう覚悟を持ってやっている。そもそも、高齢者や単身者をNGにしている団体であっても、活動を支えるボランティア自身が60代だったり単身だったりすることも多い。『自分たちは良くて、里親さんはダメ』というのは、理屈が通りませんよね」
山本さんが恐れているのは、厳しい条件をつけすぎることで譲渡会が敬遠され、団体そのものが機能しなくなることだという。
「厳しい基準を設けている団体のなかには、『猫のため』と言いながら、結局は『自分たちのため』にそうしているところも見受けられます。自分たちの安心や自己満足のためですが、それで猫の救済につながるのでしょうか。団体側もブラッシュアップしていかなければならないと思います」
譲渡会の基準が「厳しい」のも「柔軟」なのも、根底にあるのは「すべての猫に幸せになってほしい」という共通の願いだ。
猫を迎えたいと真剣に考えるなら、まずは自分のライフスタイルを見つめ直し、複数の団体の考え方に触れてみてほしい。大切なことは、一つの命を最期まで責任を持って守り抜く、飼い主側の「覚悟」なのだ。
悪質な団体も
最後に、注意すべき「悪質な譲渡会」について山本さんは次のように話す。
「保護希望者の多い人気猫に対して“1口1,000円”で申し込み料を取って抽選を行う団体もあるようです。が、そういった行為はもはや営利目的。30人が申し込んで抽選したにもかかわらず、誰にも当たらなかった詐欺のケースも耳にしました」
また最近よく目にする『純血種の譲渡会』などにも注意が必要だそう。
「そういった譲渡会は、実は母体がペットショップで、病気の猫の“在庫処分”になっているとも聞きます。余計な商品を合わせて買わせる手法で、譲渡のはずがいつのまにか高い金額を支払うことになるので気をつけてほしいです」












