「8+3=10」と答えた少年たちは「闇バイト」に応募した…いとも簡単に“個人情報”をトクリュウに送ってしまう“実行役”と「境界知能」「発達障害」の関係
個人情報を明かす理由
知能境界や発達障害の問題は、何とか生活苦から抜け出そうと犯罪行為に手を染める者が跡を絶たない理由であり、少年院の受刑者が犯罪行為に対する罪悪感が希薄だったり、犯罪被害者への共感が欠如していたりする理由でもある。
彼らもまた、社会的弱者なのだ。そして社会的弱者を「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」は狙い撃ちにする。
報道などでご存知の方も多いだろうが、闇バイトに応募すると個人情報の提出が求められる。トクリュウの指示役はこれを悪用し、闇バイトの応募者=実行役に「命令に逆らうと自分だけでなく家族や知り合いにも危害が及ぶ」という恐怖を植え付ける。
「なぜ闇バイトの実行役は『強盗グループに参加し、高齢者を殴ってカネのありかを白状させろ』という滅茶苦茶な命令でも唯々諾々と従うのか、それは『個人情報を把握している指示役に逆らったら何をされるか分からない』と思い込んでいるからです。しかし、そもそも論として『なぜ安易に個人情報を怪しげな連中に送るのだ』という疑問が浮かびますし、実際にSNSなどでは首を傾げる投稿が少なくありません」(同・記者)
そうした疑問の声に対し、ある程度は“答え”となるのが知能境界と発達障害の問題だ。どんなに非常識で反社会的な命令であっても、認知の歪みが原因となって躊躇することなく従ってしまう──。
「認知の歪み」がない人々
では、こうした社会的弱者をトクリュウの側はどう見ているのか。闇バイトの“リクルーター”が取材に応じ、率直に語った驚くべき内情が記されているのが『闇バイトの歴史 「名前のない犯罪」の系譜』(太田出版:藤原良著)だ。
著者の藤原氏は長年、反社会的勢力の取材を積み重ね、月刊誌などで多数の記事を執筆してきた。著作も『山口組対山口組』、『三つの山口組』、『M資金』(いずれも太田出版)など、いわゆる“アウトロー”のリアルな生態を描き出してきた。
ところが藤原氏に取材を依頼すると、「可能な限り関係者に取材を積み重ねてきましたが、闇バイトの応募者全員を100%とすると、知能境界や発達障害の問題を抱えている人々は半分の50%というのが偽らざる実感です」と言う。
実は認知の歪みという観点で説明できるのは50%に過ぎないという。ならば残りの50%は、どういう背景から闇バイトに応募して個人情報を明かし、強盗や詐欺といった犯罪行為に手を染めるのか……。
第2回【「なるべくバカに来てほしい」闇バイトのリクルーターが語る“理想的な応募者”…「“ビッグになりたい”という夢を持っている若者」もターゲットに】では、闇バイトの“リクルーター”が藤原氏に明かした“驚愕の事実”をお伝えする──。
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