「8+3=10」と答えた少年たちは「闇バイト」に応募した…いとも簡単に“個人情報”をトクリュウに送ってしまう“実行役”と「境界知能」「発達障害」の関係
TBS NEWS DIGは2024年11月、「『助けの求め方が分からない』国内最大の少年院に密着 年々増加する『境界知能』の非行少年たち【報道特集】」との記事を配信した。民放キー局・TBSの「報道特集」(毎週土曜・17:30)が放送した「境界知能の非行少年たち」を記事化したものだ。タイトルの「境界知能」とは「IQテストの知能指数が平均よりは下だが、知能障害とは判定されないレベル」を指す。認知機能と少年犯罪の関わりについて説いた児童精神科医・宮口幸治氏のベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)に通じるテーマだ。(全2回の第1回)
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専門の医療機関が運営している公式サイトなどによると、IQテストは平均値を100として設計されている。そして「知的障害」の定義は「IQ70以下」であり、「境界知能」は「IQ85程度から70」だという。
「報道特集」の記事で注目すべきは、「闇バイト」に関与して少年院に入所した「在院者」の姿を伝えたことだ。担当記者が言う。
「取材に応じたのは16歳の少年です。彼は闇バイトに応募し、特殊詐欺の片棒を担いだ顛末を明かしました。SNSで検索すると《1日何十万円》という仕事が表示されて興味を持ち、自身の免許証など個人情報を送ったのです。被害者の自宅を訪ねて現金やキャッシュカードを騙し取る『受け子』や、被害者が銀行口座に振り込んだ現金を引き出す『出し子』に手を染め、最終的には窃盗罪で少年院に入ることになりました」
記事でリアルなのは、16歳の少年に罪悪感が希薄な点だ。闇バイトに応募する際、「自分は犯罪行為に巻き込まれるかもしれない」とある程度は事前に予測していた。
にもかかわらず、「闇バイトと連絡取っちゃったし」、「仕事の依頼も受け取ったし」という簡単な理由で凶悪犯罪に突き進んだ。
「8+3=10」
少年院では知能境界や発達障害の可能性を指摘される在院者が相当な数に達している。社会復帰を目指して少年院は様々なプログラムを実施しており、その一つが「公文」だ。番組では境界知能と考えられる少年に一桁の足し算が出題され、「8+3=10」と間違った答えを書く様子が放送された。
「知能境界や発達障害の特性が認められる在院者が多い理由として、親の無理解や貧困の問題も挙げられます。子育てに意欲を持ち、ある程度の知識を持つ親なら、子供の状態を見て公的機関に相談したり、専門医の元を訪れたりするでしょう。ところが親が無理解だと放置され、貧困に苦しむ家庭では親が生活に追われて子供に目が届かない可能性が高まります。知能境界や発達障害の子供たちが必要なケアを受けられなかった場合、認知プロセスに歪みや偏りが生じることが明らかになっています」(同・記者)
認知プロセスの問題が改善されないと、就学や就労で不適合を起こすことが増える。
「その結果、『安定した社会生活を営むため最低限必要な義務教育の内容も充分に理解できず、収入の少なさから生活苦に直面しており、友人や知人も皆無で交友関係が希薄』という苦しい状況に追い詰められてしまいます」(同・記者)
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