「高市首相」が旧日本軍兵士の亡霊と手をつなぎ…自民圧勝で中国「人民解放軍」が流した「生成AI動画」の中身 総理は「羊の皮をかぶった狼」 批判の矛先は「卓球・張本」「サッカー・三苫」へも

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香港、台湾でもかなりのヒット数

 この動画は、音楽が極めて軽快だけに口ずさみやすい。映像自体も洗練されており、印象に残りやすい。日本の悪行を鮮明にするという点では、外務省報道官のような一方的で紋切り型の口調でないだけに、プロパガンダ映像としては極めてよくできているという印象だ。

 動画自体は全部で2分13秒と短いので、繰り返し見ても飽きることがない。中国語ということもあり、香港や台湾の新聞、テレビ、週刊誌などの報道機関や検索サイトでも転載しており、かなりのヒット数を稼いでいる。

若者の愛国心を固める

 では、なぜ、衆院選の結果が判明した直後に、中国人民解放軍が日本の軍国主義批判、ひいては高市首相を批判するミュージック動画を配信したのか。

 その理由は大きく分けて2つある。

 一つは中国共産党政権が高市首相の言動を極めて警戒していることだ。昨年11月の「台湾有事発言」もあり、中国は、高市首相が台湾を「独立国家」としてみていると認識している。習近平国家主席が言う「中国の核心的利益」を認めていないと捉えているのだ。中国の場合、いったん敵視すると、相手が中国の主張を認めるまで徹底的に攻撃するのがパターンだけに、このミュージック動画の最大の目的は「反高市」であることは間違いない。

 二つめは国内的要因である。中国の若者の愛国心を高めるために、彼らの間で人気が高いアニメや音楽を用いて、日本の「軍国主義的な傾向」にスポットライトを当て、「中国の敵は日本」という考え方を植え付ける。そして若者を中心に愛国心を高め、国民の結束を固める狙いがあるのではないか。

 今後もこうしたプロパガンダ動画は多数生産、配信されるものと見られる。

 関連記事「『高市首相の敗北・辞任が現実的に』…中国メディアが『中道改革連合』に“強い期待”を示す 『早苗は“毒苗”』と悪意ある報道も」では、中国メディアが今選挙でどのような結果を期待していたか、その詳細を記している。

相馬勝(そうま・まさる)
1956年生まれ。東京外国語大学中国語科卒。産経新聞社に入社後は主に外信部で中国報道に携わり、香港支局長も務めた。2010年に退社し、フリーのジャーナリストに。著書に『習近平の「反日」作戦』『中国共産党に消された人々』(第8回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞)など。

デイリー新潮編集部

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