小2男児 杉並区の公立小でいじめ 不登校が4年近く続くも、進まぬ区の調査 被害児童は「僕にあったことを知ってほしい」

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区長の言葉

 調査結果公表が遅々として進まないなか、杉並区はいっぽうで「いじめに取り組んでいる」との姿勢をアピールしている。2025年11月25日から28日にかけては、杉並区役所ロビーとギャラリーで「子どもの権利・いじめに関するパネル展」を実施していた。

 学校に通えない状態が続くAくんが同月27日、情報公開請求のため、らめーん氏とともに杉並区役所に出向いていたところ、たまたまこのパネル展を見かけた。帰りの電車で激しく貧乏ゆすりをしたり、座席の仕切りを拳で何度も殴るなどしていたAくんは、帰宅後も夜明けまで眠れず、こう話していた。

「僕は殴り返さなかったことがずっと残っている。言わなかったことを残したくない。区役所に行く」

 翌28日、らめーん氏とともに区役所に出かけたAくんは、「ママが来ると、ママが僕を操っていると思われるからママは来ないで」と言い残し、ひとりパネル展の会場に向かった。

 パネル展会場に着いたAくんに対し、たまたま視察していた岸本聡子区長が声をかけてきたという。

「こんにちは。見に来てくれたんですか?」

 平日金曜日の昼間に区役所にいる児童が、何らかの事情で学校を休んでいることは区長にも分かるはずであろう。Aくんはここで、自分がいじめを受けて不登校になっていること、校長の対応に納得していないこと、そして、いじめ調査が終わらないままになっていることを、彼の言葉で伝えたが、区長はこう答えた。

「私もちゃんと取り組む責任がありますからね」
「一生懸命やってるんです」

 Aくんは言った。

「一生懸命取り組んでないからこうなってるんでしょ。一生懸命取り組んでたら3年間放置されないよ」

 必死のAくんの訴えに区長は「そう言われたら仕方がないね」と返答したという。

「僕にあったことを知ってほしい」

 杉並区は「いじめ問題対策委員会」による調査の終了時期を示すこともせず、Aくんはもうすぐ6年生になる。校長はすでに異動し、別の小学校で校長を務めている。Bくんは今も、学校に通っている。Aくん家族は転居した。

 Aくんは、いじめを受けた当初から、こう願っている。

「僕にあったことを知ってほしい。僕の気持ちを知ってほしい。勝手に変になってると思われたくない」

 ***

 本件について、杉並区の担当部署に見解を求めたが、議会準備に多忙であるとのことで、回答を得ることは出来なかった。

前編】では、Aくんが受けたいじめの詳細について記している。

高橋ユキ(たかはし・ゆき)
ノンフィクションライター。福岡県出身。2006年『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』でデビュー。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆。著書に『木嶋佳苗劇場』(共著)、『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』など。

デイリー新潮編集部

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