小2男児 杉並区の公立小でいじめ 不登校が4年近く続くも、進まぬ区の調査 被害児童は「僕にあったことを知ってほしい」

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不安定になった心身状態

 Aくんが不登校になったのちの2022年6月25日、学校側とAくん家族との面談が行われた。この日、Aくん両親は、Aくんの心身の状態が不安定になっていることについて、学校に次のように伝えた。

「固形物は一日一食しか食べず、そのほかの二食はコーンスープしか口にしない」
「夜は寝付かず、寝付いても夜通し歯ぎしりをし、うなされている」
「歯を磨くと歯磨き粉がピンク色になるまで出血し、鼻血を毎日複数回出し、皮膚には内出血で模様ができている」
「Aが『みんなが敵に見える。パパもママも敵に見える。悪いけど』と言っている」

 校長はこの日、Aくんや両親に対して、しっかりと対応する旨、約束している。ところが、この“Aくんが心身に不調をきたしている”との両親からの報告を、次のように書面としてまとめた。

「コーンスープをよく飲む」

 中心となって対応にあたったはずの校長は、Aくんが“食欲旺盛な状態で不登校を続けている”かのように書類をまとめたのだ。さらに年度末の同校保護者会にて校長はAくんのいじめについて文書を読み上げたが、事前に草稿を確認したAくん家族が修正案を返送していたにもかかわらず、これを無視した。読み上げられた文書では、Aくんが希死念慮を持っていることが記されており、当時、家族はその事実が公表されることを望んでいなかった。被害児童への配慮にあまりに欠けていると言わざるをえない。

動きがない調査

 いじめ防止対策推進法第28条第1項には、いじめの重大事態について定められている。1号重大事態が「生命・心身・財産に重大な被害が生じた疑い」、2号重大事態が「相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑い」とされている。今回のいじめは、発生時から1号が疑われる事案であり、またAくんの不登校が29日続いたなかで不登校になったにもかかわらず、それから1ヶ月半以上が経過した2022年8月に開かれた同年の第一回杉並区いじめ問題対策委員会(第三者委員会)では、少なくとも2号には明らかに該当するといえるはずのAくんの事案を重大事態とすることが見送られた。Aくんは2022年12月、PTSDと診断された。しかし、本件が重大事態として扱われるようになったのは、翌23年5月に学校が杉並区教育委員会に対し、重大事態報告書を提出してからだ。

 本件は現在、「杉並区いじめ問題対策委員会」により調査が行われているが、報告書は未だ完成されていない。原案は2023年12月末に杉並区教育委員会よりAくん家族に送付されたが、事実と異なる記載があったため、らめーん氏が意見書を提出。のち面談を申し入れたが「すでに十分な書面を受領している」と断られた。その後、動きがない。また、意見書を受け取っているはずの区側は、議会で本件遅滞についての質問を受けた際に「保護者の書面を待っている」と回答した。すでに意見書を提出している母親のらめーん氏は、なすすべがない状況となっている。

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