「平成レトロ」ブームで“シール集め”に脚光も…“ギブアップ”する小売店が続出する「薄利多売」「転売屋」という難題
都内の大型雑貨店に買い物に行ったところ、朝から行列ができていた。なんだろうと思って店員に聞いてみると、シールを買い求めに来た人たちの列なのだという。親子連れも見られるが、なかにはシールに明らかに興味のなさそうな転売屋と思わしき人の姿も見られ、スマホで仲間と連絡を取り合いながらフリマサイトを閲覧していた。
かつては書店や文房具店で普通に売られていたシールが瞬く間に入手困難になり、雑貨店や文房具店では販売制限を設け始めている。店頭ではシールを求めて怒号が飛び交う様子も見られるようで、少し前のポケモンカードにまつわる混乱を思い起こさせる。ネット上では、「シールがほしいのに買えない」と、嘆き節が聞かれる。
加熱するシールブームは、近年の平成レトロブームの一環で起こったといわれている。その一方で、シールは店にとっては薄利多売の商品であり、利益が出にくいと聞く。ブームが起こる前からレトロシールを扱っていた「夢織屋」の“きょどりん”氏に、現在のブームの実情を聞いた。【文・取材=山内貴範】(全2回のうち第2回)
【写真】「ビニール水泳バッグ」から「ママ大助かりのクイックルワイパー」まで…“狙っていない素朴さ”が人気の平成女児グッズ
シールの取り扱いをやめた店も
――現在、平成レトロブームの一環としてシールが人気になっているようです。ブームが起こる前からシールを扱ってきた立場として、現在の熱狂をどう見ていますか。
きょどりん:シールブームは突然来たな、という実感があります。そもそも、シールって本来は薄利多売で利益を出す商品なのですが、メーカーや問屋があまり多売させてくれないんですよ(笑)。問屋に20枚入れてほしいと頼んでも、10枚しか入荷しないとか、以前からそんなことがよくある商品です。
チェーン店のように大量仕入れができるお店なら事情は異なるかもしれませんが、それでも利益率が高い商品ではないわけです。なので、正直なところ、ブームになっても店側には旨みが少ない商品だと思います。
――店の前に行列ができても、儲けが少ない商品なのですね。
きょどりん:当店でも、昨年に入荷の告知を出したら、開店前から20人くらい並んでしまったことがありました。先ほどもお話した通り、シールは利益率が低く、実質的に多売ができない。にもかかわらず、お客さんが来すぎてしまうと、列整理などもあってスタッフはめちゃくちゃ大変なのです。
もちろん、好きで買いに来たお客さんのためならお店も頑張りますし、薄利でもまったく問題ないのですが、こちらが苦労して売ったものが転売屋に渡ってしまうのはどうなのかなと思いますね。シールは本来、子供の楽しみであるはずなのに、ターゲット層に届いていないのは悲しいですから。
そこで、当店は入荷の告知を取りやめて、入荷したらゲリラ的に売る感じに改めています。他のお店も“シールギブアップ宣言”で、取り扱いをやめてしまっている例が多いと聞いています。外から見ると、取り扱っている店が儲かっているようなイメージがありますが、決してそんなことはないと申し上げておきます。
[1/2ページ]


