〈上野4億円強盗〉現場近くに中国人の「金密輸グループ」拠点が 「日本の暴力団が儲かっている側面も」

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1日に50キロ以上

 一大拠点とされる店舗は、御徒町のジュエリーショップが立ち並ぶ一角にひっそりとたたずんでいる。木を隠すなら森の中との言葉通りだ。ショーケースに宝石の類いはほとんど陳列されていない。その代わりに、横付けしたワンボックスカーから重そうなバッグを運ぶ男たちが頻繁に出入りしている……。

 経営者は40代の中国人男性。警視庁から数年来マークされている人物である。

 この中国人経営者は過去、盗品等有償譲り受け容疑と組織犯罪処罰法違反(犯罪収益収受)の疑いで逮捕され、不起訴となった経歴がある。金貨や金地金などを盗品と知りながら買い取ったとの容疑だが、不起訴の理由は不明だ。

 で、彼は一体どんなことをしているのか。

 警視庁の幹部によれば、

「金の価格は世界共通です。課税対象にしているのは日本や韓国など数カ国のみなので、密輸した金を日本国内で買い取り業者に消費税10%込みの価格で転売すれば、その分が利ザヤとなる。これで荒稼ぎしているのが、中国人経営者の金密輸グループなのです」

 同グループは中国人犯罪組織内でも最大勢力とのこと。その手口を本誌記事から引くと、

「グルになった香港などの旅行会社が“これを持って行けばツアー代金を割引する”と観光客を誘い、銀メッキで偽装した金のアクセサリーなどを日本に密輸させる」(同)

 空港に着いた観光客から、中国人経営者の部下が金を回収し、

「中国人観光客らが持ち込んだアクセサリーや金粉などを延べ板状に“焼き直し”してから、貴金属買い取り業者に転売していた。その大口の転売先が、同じ御徒町にある業者でした」(同)

 金の“仕入先”である旅行会社などに消費税10%の半分を手数料として渡しても、ぼろ儲けだという。店舗に持ち込まれる密輸された金は1日50キロ以上で、1日の儲けは当時のレートでゆうに2000万円近くにもなる計算だ。

日本の暴力団が潤っている側面も

 中国人経営者はその資金で都内の不動産を物色し、中国人観光客向けの白タク営業まで始めた。しかもその車はベンツという豪華版。

 先の警視庁幹部が語る。

「今回の事件は、こうした“土壌”がある御徒町の近くで起きました。中国人犯罪組織と関係を保っている日本の暴力団が、金の密輸で潤っているとの側面もある。その恩恵に与れなかった暴力団や、それに準ずる海外の組織が犯行を企てた可能性も視野に入れるべきでしょう」

 金の密輸、脱税で得た“裏のカネ”を毎日のように海外へ運んでいたのだから、いつ何時、情報を入手した組織から狙われてもおかしくない状況だったろう。日本と香港をつなぐ犯罪捜査は緒に就いたばかりだ。

週刊新潮 2026年2月12日号掲載

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