50歳を迎えて突然思い出した光景「小学生のとき、こっそり帰ると母が裸で…」 封印した記憶は人生をどう変えたのか 56歳男性の告白
20歳の時に両親が離婚
長ずるにつれて、母と叔父の関係が続いているのを確信した。どうやら父にも外に女性がいるらしいこともわかった。だが父と母は、そんなことをおくびにも出さず、仲がいいとはいえないまでも大げんかをすることもなく、普通の家庭を装っていた。兄が仕事をやめてひきこもるようになったとき、家庭はいともあっけなく壊れた。
「僕が20歳になったころかな、両親が離婚しました。その後、父は再婚したけどそれもうまくいかなかったようで。両親が離婚したとたん、母と関係をもっていた叔父が結婚したと聞きました。兄はひとりでアパートで暮らしながら、ときどきアルバイトをする生活だったようです。あまり連絡をとりあっていなかったので、当時の詳細はわかりませんが」
家庭が崩壊したとき、彼は言いようのない解放感を得たという。昔から、家族として取り繕っている雰囲気を感じ取っていたからだろう。
「まあ、でも生来の楽天家なんですかね、僕は傷つくこともなく奨学金で大学へ通いながら、遊んだりバイトをしたり旅をしたりと学生生活を楽しみました」
そうして「50歳までの晃平さん」はできあがった
就活は楽ではなかったが、希望通り旅行会社に就職することができた。大手とは言いがたいが、「むしろ大手ではないほうが好きなことができそうだ」と感じていた。
「僕は自分で自分をまったく理解していなかったし、わかろうともしていなかった。あんまり自分に興味がないというか。だからよけい、できごとを点としてしか認識できなかったんでしょうね。その場に合わせて自分を柔軟に変えながら世渡りできればいいと思っていたし、実際、それでなんとかなっていた」
意図せず器用な生き方ができる人なのだろう。仕事で企画を出すときも上司に受けやすいものを出せるし、添乗員としても客に合わせて楽しませることもできる。
「自分が旅好きだったから、旅行の仕事は楽しかった。ツアー企画がちょっと人気になったときはうれしかったですね」
いつでも楽しそうだねと、子どものころから言われ続けてきた。だが彼は冷静沈着だったのだ。楽しそうにふるまったほうがいいと思うから、そうふるまっていただけ。だからといって心が空っぽというわけではなかったけど、そういう生き方が身についてしまったんだと思うと彼は言った。
そんな生き方だから、恋愛もトラブルになったことはない。だが一方で、人と深く関わる喜びも知らなかった。
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人生が「つながった」感覚を抱いたことで、これまでの自身を振り返るようになった晃平さん。【記事後編】では、その後に彼が選んだ行動と、そこから起きた思いがけない出来事を追う。
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