50歳を迎えて突然思い出した光景「小学生のとき、こっそり帰ると母が裸で…」 封印した記憶は人生をどう変えたのか 56歳男性の告白

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陰険な兄をひいきした母

 彼は中部地方のとある市に生まれ育った。父はサラリーマン、母はパートで働く、ごく一般的な家庭だ。5歳年上の兄は、勉強もスポーツもできる優等生で、母からも常に比べられて育ったという。

「兄は外では人望があったし友だちも多かったけど、僕には意地悪だった。今思えば、彼は彼なりにストレスをためていたのかもしれません。人って、外で褒めそやされても、家では親に隠れて弟をいじめるんだなと客観的に思っていました。僕の小遣いを盗んだり、僕の分のおやつを食べて知らん顔していたり。僕は納得がいかないから、母に言いつけたこともあるけど『おにいちゃんがそんなことをするはずがない。あんたの勘違いでしょ』とにべもなく言われる。兄はそういうとき僕のほうをちらっと見て、ニヤッと笑うんです。なんとも陰険な笑顔でしたね」

 母が兄のほうばかり向いているから、逆に気楽でもあったと晃平さんは言う。母から離れられなかった兄は地元の大学に進み、地元で就職したが、晃平さんは東京の大学に入学した。

「あんなに母親に従順だった兄が、就職してからやけに反発するようになって母は今度は僕を頼ろうとしてきた。だからさっさと上京しました。兄は新卒で入った会社を2年で辞めて家にひきこもるようになり、そこから実家は崩壊していった。家を顧みなかった父、父に頼れなくて長男にすべてを賭けようとした母、その重荷に耐えかねてつぶれた兄。そんな構図です。僕だけ逃げ延びた。そんな気がしました」

小学生の時に目撃した「母の疑惑」

 50歳になってよみがえった記憶の中には、封印しておいたはずのものもあった。それは幼いころの母への疑惑だ。

「小学校2年のとき、学校へは行ったものの急に具合が悪くなって医務室に直行したんです。家に連絡してもらったけど母はパートに出かけているから連絡がつかない。僕は家に帰りたくて、医務室に誰もいなくなったすきに学校を出ました。熱でふらふらしながら家に帰ったけど玄関には鍵がかかっている。裏の勝手口はいつも開いていたから裏に回りました。なんだか声が聞こえるので、そうっと入っていったら、畳敷きの居間で母が真っ裸になり、男と組んずほぐれつの最中でした。当時はわけがわからなかったから、僕は呆然と突っ立っていたけど、夢中になっているふたりは気づかない。体勢を変えたとき男の顔が見えました」

 それは父の弟、晃平さんにとっては叔父だった。当時、独身だった叔父はときどき家に来ては食事をしていったり、晃平さんたちと遊んでくれたりした。外回りの多い仕事だったから、合間に晃平さんの家に寄ったのだろう。

「もちろん、見てはいけないものを見ているという自覚はありました。でも目が離せなかった。なんというのか……真摯な感じがしたのかもしれない。母がのけぞって獣のような声を出したところで僕は我に返り、もう一度学校に戻りました」

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