長すぎる髪の少女、聞きなれない異国の声…昼夜を問わず“怪異”が押し寄せる60歳男性が明かす体験集【川奈まり子の百物語】

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外国の娘

 数年前のある晩、彼が書斎でパソコンを弄っていると、窓の外で女の子の声がした。

 彼にも娘がいるので、声の主の年齢がなんとなく察せられた。

 7歳か8歳ぐらい。小学生の少女だろうと見当がついたが、時計を見るとすでに午前2時に近かった。

 けっこう大きな声だったような気がする……と思っていたら、

「―――――!!!」と叫んだ。

 今まで聞いたことのない言語であった。

「――――――――――――!!」

 まだ騒いでいる。

 体調の悪くなった外国人の子どもを親が病院に連れていこうとしているのだろうか?

引き寄せる男

 そんなふうに合理的な説明を考えてみたものの、そもそも窓のすぐ外で話しているかのように聞こえる。そして、ここは2階なのだ。

「――――――――! ―――――……」

 大声で怒鳴りながら左横方向に声が移動しはじめた。

 思い切って窓を開けたらいきなり静かになり、首を突き出して外のようすを窺ってみたが、女の子も何も、人っ子ひとり見当たらなかった。

「オバケの方から寄ってきてしまうので避けようがありません」

 タケダさんは筆者にそうおっしゃりながら、たいへん満足そうにしていらした。

 何度か怖い思いをしても怪談はお好きだと話されていたが、言われてみたら私自身も彼と同じく、何かあっても一向に懲りずに怪談を好み、怪を引き寄せているような気がする。

 ―――

【記事前半】では、寺院で行われた百物語の様子と、「家鳴り」「市松人形」の謎について語っている。

川奈まり子(かわな まりこ) 
1967年東京生まれ。作家。怪異の体験者と場所を取材し、これまでに6,000件以上の怪異体験談を蒐集。怪談の語り部としても活動。『実話四谷怪談』(講談社)、『東京をんな語り』(角川ホラー文庫)、『八王子怪談』(竹書房怪談文庫)など著書多数。日本推理作家協会会員。怪異怪談研究会会員。2025年発売の近著は『最恐物件集 家怪』(集英社文庫8月刊/解説:神永学)、『怪談屋怪談2』(笠間書院7月刊)、『一〇八怪談 隠里』(竹書房怪談文庫6月刊)、『告白怪談 そこにいる。』(河出書房新社5月刊)、『京王沿線怪談』(共著:吉田悠軌/竹書房怪談文庫4月刊)

デイリー新潮編集部

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