真顔で「天国に将棋はない」と… 加藤一二三さんが大切にしていた“神からの使命” 「全ての根底に信仰心が」
“ひふみん”の愛称で知られる将棋棋士の加藤一二三・九段が1月22日、肺炎のため86歳で人生の幕を閉じた。現役終盤以降は人気タレントとして、あまたのバラエティー番組にも出演。テレビに映る愛嬌あふれた姿の奥底には、想像以上にあつい信仰心があったという。
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「すごい生命力」
加藤九段にまつわるエピソードは、枚挙にいとまがない。神谷広志八段(64)は約20年前の対局中、目の当たりにした大食漢ぶりをこう振り返る。
「おやつに板チョコを3枚ほどバリバリと召し上がった後、立て続けに紙パックのジュースを4本も飲み干されました。昼食と夕食には計2回、うな重を平らげた。さらに、これらの食べ物だけでは飽き足らず“桃を8個、買ってきてくれ”と仰ったのです」
配膳係が桃とナイフを持ってくると、加藤九段は器用に皮をむきながら、一心不乱にムシャムシャと食べ出したという。
「その姿が面白かったので腹を抱えて笑い、つい将棋を指す手が止まってしまいました。一方では“こんなに食べたら体を壊すだろう”とも心配になりましたが、杞憂に終わりましたね。以降、長らくお元気だったのは誰もが知る通り。すごい生命力をお持ちだったと思います」(同)
常人では考えられない活躍
生涯を通して、常人では考えられない活躍を続けた加藤九段。当時最年少の14歳でプロデビューした後、名人などのタイトルを計8期獲得。今もなお最多対局、最高齢勝利といった記録は破られていない。
観戦記者によれば、
「2016年には現役最年長だった76歳で、藤井聡太(23)のデビュー戦の相手を務めました。得意戦法『矢倉』で62歳下の新人に真っ向勝負を挑み、敗れ去った。後に六冠となる藤井に、次世代の棋界を託したかのような一戦でしたよ。翌年、さすがの加藤九段も限界を感じたのか、77歳で引退されました」
芸能活動を本格化させたきっかけは12年、マツコ・デラックス(53)が司会を務める「アウト×デラックス」(フジテレビ系)に出演したこと。自由奔放な言動で人気を博したが、
「まあ、ちょっと身勝手なところもありました」
と、日本将棋連盟元理事の田丸昇九段(75)は笑いながら、逸話をこう明かす。
「将棋会館での対局は大体、一つの部屋に将棋盤が2面並びます。自分たちとは別にもう一戦、横で対局が行われるのです。そこで加藤九段は自身の前の盤を持ち上げ、好きなところに移動させることがあったとか。他意はなく、快適な場所で勝負に集中したかっただけでしょう。しかし、加藤九段が近寄ってくるので圧迫感を覚え、困ってしまう棋士もいたそうです」
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