「愛子天皇論」の裏にある“不敬”の正体 皇位継承議論、衆院選で見えた「中道」の曖昧さ

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「愛子さまは心を痛めておられる」

 拓殖大学政経学部教授の浅野正彦氏(比較政治論)は昨今の愛子天皇論の主張について「攻撃性が感じられるのが気になる」として次のように筆者に語っていた。

「愛子さまを慕う心情は分かるが、それと皇位の継承は別だ。現実に悠仁さまという男系の継承者がいらっしゃって、立派に成長されているのに、強引に変えてしまえというのは乱暴だ。ほんとうに彼らは皇室を敬愛しているのだろうか。もっと問題なのは、宗教学者や大学教授などが、愛子さまの名前を出して秋篠宮家に対する批判を煽っていることだ。愛子さまがお気の毒だ。国民の分断を狙っているとしか思えない」

 一方、こうした状況を憂うる宮内庁関係者の一人は、こう打ち明ける。「陛下が愛子さまを天皇になさりたいなどと思っていらっしゃることは絶対にない。俗な言い方をすれば、そんな苦労はさせたくないと思っていらっしゃるのではないか」。別の側近は「愛子さまご自身が今の風潮に心を痛めておられると伺っている」と言葉少なに語る。

「皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」

 国会でなされている皇位継承議論にも触れたい。議論は令和3(2021)年12月に政府の有識者会議(座長・清家篤元慶応義塾長)が「皇位継承と皇族数の減少についての基本的な考え方」をまとめて当時の岸田文夫首相に提出した「最終報告書」が土台となっている。

 有識者会議が提唱したのは【1】内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持する【2】皇族には認められていない養子縁組を可能とし皇統に属する男系の男子を皇族とする――の2案だ。前者には「配偶者と子は皇族という特別な身分を有しないことが考えられる」との付記がある。後者にも「養子となった皇族は皇位継承資格を持たないとすることが考えられる」とする付記があるが、これは皇族となった養子に生まれた男子が皇位継承権を持つべきだという趣旨だ。

 報告書は「まずは皇位継承問題と切り離して皇族数の確保を図ることが喫緊の課題」としているが、実際には後者の皇族養子案は「皇位継承者の確保」にもストレートにつながるものだ。報告書で注目されたのは、冒頭に「皇位継承の歴史や伝統は大変重い」「今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」とあることだ。ここに「愛子天皇論」が入り込む余地はない。

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