「2人目いらない」はずの妻が突然の心変わり→即妊娠… 真相を知って“歪んだ愛おしさ”をおぼえた53歳夫の胸中

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【前後編の後編/前編を読む】「まだ女を知らないのか…」と言って10代の僕に“手ほどき”した遠縁のおじさん 浮気者の背中から「男と女」を学んで

 徳田智博さん(53歳・仮名=以下同)は、転勤族の家庭で育った。転校を繰り返し、行く先々では“明るくてバカ”なキャラを演じていたという。そんな暮らしが終わったのは高校生のとき。都内の高校に入学したため、両親にはついて行かず、代わりに父の遠縁である「おじさん」夫婦の家に居候することになったのだ。おじさんは女性にだらしなかったが、智博さんは不思議と惹かれ、“女性”を知る手助けをしてもらったことも……。やがて就職した智博さんは、同僚の啓子さんと交際し、彼女のアパートで暮らし始めた。

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 気持ちを切り替えることができたのは、啓子さんの妊娠がわかってからだ。結婚を考えたことはなかったが、啓子さんのお腹が目立ってきたころ「このままじゃいけない」と覚醒した。

「赤ん坊が生まれてくるなんて、考えたら神秘的だし奇跡みたいなものだなと思ったんですよね。僕の子は、何を思いながらこの世に出てくるんだろう、本当は僕のところになんて来たくないかもしれない。僕自身も、生まれ育った家庭がベストだとは思わなかったけど、とりあえず教育は受けさせてもらった。僕も最低限のことはしてやりたいと思った。できれば愛情深く育てたいと一般論的に思ったんですが、愛情深いってどういうことなのかわからなかった」

 それは家庭のせいというより、彼自身の問題だったのかもしれない。「愛」という言葉に疎かったのだ。啓子さんと一緒に暮らしながら、他の女性と関係をもったことも1度や2度ではなかったが、お互いに「その場を楽しめばいい」と思っていたからもめごとにはならなかった。

「自分も愛情とか関係を育てるとか、そういうことを考えていなかったから、同じような相手を選んでいたんでしょうね。その時点で、いちばん長く続いたのは啓子でした。妊娠がわかったとき、僕は思わず『どうする? オレたち、暮らしていけるかな』とつぶやいてしまったんですよ。すると啓子はごく穏やかに『私の中に存在している“命”を殺すことはできない』と言いました。微笑んでいるのに、殺気に近い妙な凄みがありました。この人には逆らえないと思った記憶があります」

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