「立憲・公明」が本気で倒したいのは「自民党」ではなく「高市総理」 内閣を退陣に追い込んで目論む「政権交代」の意外すぎる構図とは

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 1月19日、高市早苗首相(自民党総裁)は衆院を23日に解散することを表明した。1月27日公示―2月8日投開票の日程となる。一方、対する野党の立憲民主、公明両党は1月16日、衆院議員が合流して新党「中道改革連合」を結成すると発表した。つい3カ月前までは与野党として対峙してきた両党がここに来て手を結んだ背景とは何か。そこには「自民党打倒」だけではない“狙い”が隠されている。

【市ノ瀬雅人/政治ジャーナリスト】

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高市政権に一矢報いる舞台装置

 野党第一党が参画する新党設立は、しばしば行われてきた。近年では希望の党、民進党、遡れば新進党などの例があった。刷新性を狙ったものとして「衆院選前の風物詩」「年中行事」と揶揄されることもある。

 ただ、今回の新党は明らかに趣が違った。少なくとも総花的な新鮮さといった、キラキラ感をアピールしているとは思えない。中道は戦後政治史によく登場する用語であり、古めかしい感さえある。顔となる党首も、立憲、公明のそれぞれの代表である野田佳彦、斉藤鉄夫両氏が共同で就くという。そのまま移行するだけである。

 しかし、実は、こうした事象こそが、今回の新党設立劇の本質を端的に表している。それは、この中道改革連合が、老舗政党である公明が長年にわたり築いてきた強固な組織票の動員により、高市政権に一矢報いる舞台装置としての役割を企図したものだということだ。

 小選挙区においては一部を除き、これまで公明票は、連立政権を組んでいた自民の候補に投じられていた。今度は中道改革連合に移籍した旧立憲候補に上乗せし、自民と日本維新の会の与党候補を倒そうというのだ。

組織力による集票活動を主軸に

 公明票は1小選挙区当たり1~2万票程度とも言われる。仮に、そっくり旧立憲候補に積むと、単純計算上は、相当の小選挙区で自民候補を逆転する。

 多くの公明支持者にとって、これまで、小選挙区では自民が投票先であり、立憲系は落選させるべき敵であった。今回、公明は支持者に対し、これまでの敵に対する投票と、支援活動を求めることになる。

 この正反対の行動をできるだけ円滑に行う手段が、公明と立憲が同じ党に同居するという力業なのだ。であれば、表面的なイメージ戦略は二の次である。不気味さすら漂う昭和的ネーミングや地味な印象は、逆に、集票マシンとしての機能性の高さへの自信だとも受け取れる。

 野党第一党にポジショニングする新党が、中道といったイデオロギーの呼称を名前に掲げるのも、近年では異例だ。広範な支持を得て政権奪取を狙うには、左右の間における政治的立ち位置を自ら鮮明にするのは、通常は得策ではない。

 この点からも、ふわっとした民意を掬い取る空中戦ではなく、地道な組織力による集票活動を主軸に置いていることがうかがえる。

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