「農協」「医師会」「建設業協会」への「利益誘導」の実態が明らかに 国庫支出金データから分析する「組織票」を集め続ける団体の特徴とは

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「農協」「医師会」「建設業協会」をはじめ、自民党を支持する組織は数多い。こうした大規模な団体につきものなのが「組織内候補」だ。団体は候補者を選挙で支援し、その見返りとして候補者は政治的な力で「利益誘導」を行う。このような政治の在り方が問題視され、1990年代の選挙改革では中選挙区制の廃止につながった。しかし、小選挙区比例代表並立制に移行した今もなお「利益誘導」は確実に続いているという。国庫支出金のデータを元に政治を定量的に分析する、愛媛大学の池田文准教授に日本の「利益誘導政治」の実態を聞いた。

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「利益誘導政治」は、特定のグループや有権者に対して優先的に利益を分配し、選挙時の票を集めようという政治の在り方を指します。

 候補者が当選した際、理想的にはすべての有権者に平等に利益を分配することができれば良いのですが、コストの面などから見て現実的に難しいことも多い。この時、ある特定の集団などに利益を優先的に分配して、その見返りとして自身に投票してもらうことを期待する政治家が現れる。そこに「利益誘導政治」が生まれます。

 例えば、自民党の支持組織には、「農協」「医師会」「建設業協会」などいくつかあります。それぞれ、「農協」は農業従事者に対する補助金や米価の調整などを、「医師会」は診療報酬の調整や医師数の抑制などの医療政策への便宜を、「建設業協会」は土地改良やダム建設などの公共事業への参画を、「利益」として自民党を支持してきたと言われています。

 それでは、これらの「利益誘導」は本当に行われているのでしょうか。

 利益誘導が行われているかどうか確かめるには、まず何をもって「利益」というのか考えなければなりません。補助金などの金銭的利益や規制緩和・保護政策などの政策的利益など、利益誘導政治における「利益」には様々ありますが、これらを定量的に分析する上で目を付けたのが「国庫支出金」でした。

 政府から自治体に流れていくお金には、国が進める政策に沿って分配される国庫支出金や地方交付税などがあります。地方交付税は厳密な計算方法により交付額が決定されており、政治的に手を入れることが難しい。一方、国庫支出金は政策に沿って支出されるので、政治的な関与を比較的行いやすいと考えられます。

 政府から各自治体に分配された国庫支出金の額は公開されています。そこで、2001年から2019年までの7回の参院選における得票数と配分された国庫支出金のデータを、国内の全市区町村について分析して相関関係を調べました。つまり、政党を支持する団体の組織内候補の得票率が上昇した市区町村で、選挙翌年に配分される国庫支出金の額が増加するかどうかという分析です。

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