「農協」「医師会」「建設業協会」への「利益誘導」の実態が明らかに 国庫支出金データから分析する「組織票」を集め続ける団体の特徴とは

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「利益誘導」は悪なのか

 本来、政治とは財や権利などの「利益」をどのように分配するか権威的に決定することです。その点で見れば、常に不平等は発生しうるわけで、特定の有権者の期待に応じて利益を優先的に分配することは特におかしなこととは言えないのかもしれない。世界を見渡しても、利益団体がロビー活動を行って政策に反映していくことはごく自然に行われています。

 しかし、特に日本では多くの人が「利益誘導」という言葉に悪いイメージを持っています。これは何故かというと、やはり日本では政権交代が起こりにくいからではないかと思うのです。当然ですが、利益誘導をするには政策決定や予算編成に影響力を持っていなければならず、これを満たすのは基本的に政権与党に限られます。

 与党は利益誘導によって政権基盤をさらに固め、利益誘導できない野党は支持を伸ばせず党勢は低迷し、政権交代が起きにくくなる。今回の研究を見ても、与党の支持団体は利益誘導できているのに野党の支持団体はできていません。

 日本は長年にわたり特定の党・議員が利益誘導できる立場にいるため、特定のグループへの利益誘導が過剰なのではないかという不平等感があります。そのために日本では利益誘導に対する悪い印象があるのではないでしょうか。ある程度の頻度で政権交代が行われる国では必ずしも「利益誘導」は悪とは言い切れないのかもしれません。

池田文(いけだ・ふみ)
愛媛大学法文学部准教授。早稲田大学高等研究所招聘研究員。政治過程論、比較政治学を専門として、政治制度を中心に研究。有権者や利益団体の投票行動、利益分配に政治制度が及ぼす影響などについて論文多数。『数理とデータで読み解く日本政治』(日本評論社)など一般向けの寄稿活動も行う。2024年4月より日本選挙学会編集委員を務める。

デイリー新潮編集部

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