芳本美代子、一番近しい存在には石川秀美の名前を挙げ…「1990年で歌手活動ストップ」「35年ぶりに復活」の“真相”語る
現在、大阪芸術大学短期大学部の教授として週に3日ほど大阪に通っているという芳本美代子。デビュー40周年を迎えた2025年は、アルバム楽曲のストリーミングサービス(サブスク)解禁や、約35年ぶりのライブ再開など、音楽活動に精力的な1年であった。
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インタビュー前編では、アイドル全盛期の3年間について尋ねてみたが、後編ではその後の音楽活動や、ライブ再開の経緯などについても語ってもらった。その前に、デビュー時にアイドル活動を共にしていた仲間について尋ねてみた。
「事務所の1年後輩には、同じ山口県出身の西村知美ちゃんがいましたが、知美ちゃんは映画からのデビューで別のラインで動いていたので、やっぱり一番近い存在は石川秀美さんですね。秀美さんの曲では、松本隆先生が作詞された『ゆ・れ・て湘南』が好きでした。秀美さんのような“元気な女の子”というスタイルを引き継いだので、私のファンも全体の半分近くは同年代くらいの女の子でした。一方、同期の松本典子ちゃんなんて、“男性が守ってあげなきゃ”というタイプで、ファン層がまったく違いますからね。
秀美さんは事務所の3年先輩で、テレビ番組や地方のお祭りなどのイベントでご一緒することが多かったです。秀美さんがメインで出られるところに、私もバーターで(笑)呼んでいただいたんでしょうね。秀美さんは健康的なイメージがあり、芸能界での運動会や水泳大会でも大活躍なさっていたのですが、私はスポーツが苦手で、みんなに笑い者にされていました(苦笑)」
石川秀美のさらに2年先輩となる河合奈保子は、どういう存在だったのだろうか。
「いや、もう奈保子さんは大先輩で、別格の存在でした。でも、奈保子さんのラジオ番組のゲストに呼んでいただいてお話しすると、本当に気さくで。奈保子さんは抜群の歌唱力で、バラードを上手に歌われるイメージがありますが、『コントロール』のようにテンポの速い曲も歌いあげることができて、すごく好きですね」
さまざまなタイプのアルバムを発売。制作の裏側語る
さて、ここからはデビュー4年目以降について語ってもらおう。4年目となる88年には、CHAGE and ASKA、杏里、山本達彦などシンガーソングライターの楽曲が中心になったアルバム『Miss Lonely Hearts』を発表する。そのリード曲「サカナ跳ねた」は、ASKAが詞曲を手がけており、非常に抽象的な歌詞と浮遊感漂うメロディーで、アイドルのヒットソングとは一線を画した不思議なポップスに仕上がっている。
「アイドルデビューから3年経って、自分の個性を持っているアーティストの方たちに憧れ、それぞれのカラーで作られた楽曲を楽しみ始めた頃ですね。ASKAさんに作っていただいた『サカナ跳ねた』と『You…』はどちらもフワフワした曲で、2曲の中でよりキャッチーな『サカナ跳ねた』がシングルに決まったのだと思います。この不思議な感じも丸ごと“ASKAワールド”ですよね。
ASKAさんにはレコーディングにも来ていただいて、力まないような歌い方をアドバイスいただき、私なりに頑張りました。このアルバム内では、多分私に合うだろうということで推していただいた、CHAGE and ASKAの『オンリー ロンリー』もカバーしています」
さらに89年にはアルバム『Power of Love』を発表している。これは、先輩である河合奈保子、石川秀美同様にデビュー5周年を記念した海外録音アルバムで、同作には松田聖子のシングル「Marrakech」の作曲・編曲を手がけたSteve Kipnerの楽曲が多く収録されている。
「デビュー5周年記念ということで、海外レコーディングに3週間ほど行かせてもらいました。それだけ行っていたら英語もペラペラになるのかなと思ったのですが、全然なれなかったです(笑)。でも、ロスアンゼルスならではの開放感や爽快感が出た作品になっていると思います」
さらに翌90年には、自作詞曲や女性シンガーソングライターからの提供曲を収録したアルバム『「MY」』をリリースするなど、着実にJ-POPにシフトチェンジしている。この『「MY」』では、サザンオールスターズのアルバム『人気者で行こう』に収録されていた人気のバラード「海」もカバーし、アルバムのリードシングルとしてリリースしている。
「その2年前に、同じテイチクだったあおい輝彦さんの『センチメンタル・カーニバル』をカバーして好評だったので、またカバーをするというアイデアがあったんだと思います」
本人は特にサザンオールスターズのファンというわけではなかったらしく、察するに、同じレコード会社だった高田みづえが、「私はピアノ」「そんなヒロシに騙されて」などサザンオールスターズのカバーでヒットを飛ばしたことも影響しているのかもしれない。いずれも芳本本人の強い希望ではないのに、とても伸び伸びと自然体で歌っているのが印象的だ。
また、アルバム全体も、「南野陽子ちゃんの『話しかけたかった』のようなドラマティックな作品が大好き」という同作作詞の田口俊が大半を手がけ、「いろんなお話をしながら作っていった」というだけあって、ぐんとフェミニンな雰囲気となっている。これは、当時同じ事務所だった今井美樹が、女性からの熱い支持を経て大ブレイクしたことにならった可能性がある。本作は芳本のアルバムの中で唯一、オリコンTOP100圏外となっているが、今回のサブスク解禁を機に、今後もっと聴かれても不思議ではないほど完成度が高い。
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