せっかくの支援団体は「ごくちゅうの恋」が原因で解散…「頂き女子りりちゃん」事件の唐突かつ“喜劇的なエンディング”とは

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 見事なマニュアルと人心掌握術により、数多くの「おぢ」から多額の金を得ていた「頂き女子りりちゃん」事件。その手腕については第1回で詳述したが、逮捕後もまた別の“揉め事”を起こしていた。批評家・篠原章氏が「りりちゃん」の実像を分析する。

(全2回の第2回)

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広がる「支援の輪」

「頂き女子りりちゃん」が作成・販売したマニュアルには「おぢからカネを頂く」実践的な情報が詰め込まれていた。そして、このマニュアルをもとに詐欺行為に手を染めた名古屋の女子大生が逮捕されたことがきっかけで、ご本尊であるりりちゃんもまた逮捕されたのだった。

 しかし、逮捕直後からSNSなどで発信されたりりちゃん独自の感性や主張に惹かれて、彼女を応援したいという人々が次々現れる。これが、徐々に「支援の輪」として広がっていくが、支援活動が本格化したのは、詐欺・詐欺幇助・所得税法違反とあわせて懲役9年、罰金800万円という一審判決(2024年4月22日)が下されてから後のことである。

 この支援活動を始めたのは、りりちゃんの弁護士(国選弁護人)、りりちゃんの熱心な支援者だった作家の草下シンヤ氏、草下さんの友人で写真家の立花奈央子氏からなるグループだ。

 被害者への弁済とりりちゃんの更生、7000万円といわれる未納所得税の納付を目的に「合同会社いぬわん」を設立し、まずはXのアカウント「りりちゃんはごくちゅうです」から継続的に発信、note(課金制)を使って「りりちゃん、しゅき」を更新してきた。

「りりちゃん、しゅき」については、半生をまとめた手記と併せて書籍化の計画もあり、映画化の話も進んでいた。これらを収益化し、納税と被害者弁済に充当する予定となっていた。ただし、弁護士、草下氏、立花氏の三者はあくまでもボランティアであり、彼らの報酬・手数料などはまったく想定されていない。

 こうした支援を、月刊「創」編集長の篠田博之氏なども絶賛する。同誌は受刑者や刑事被告人に対して同情的な論考が多く掲載される媒体である。「りりちゃん、しゅき」も好評だった。

 ただ、判決文に記載された三人の被害者のうち、この活動に期待して合同会社に連絡したのは約4000万円を詐取された一人だけで、他の二人(1億円2000万近く詐取された被害者と40万円を詐取された被害者)とは連絡が取れなかったという。

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