インバウンドが少ない日本の名湯7選! 雪国の秘湯から関東の“穴場”まで一挙に紹介
厳しい寒さの続く冬の旅に欠かせないのはほっこりあったまる温泉だろう。年末なら1年の疲れを癒やしたいところだが、気になるのが訪日外国人旅行者のオーバーツーリズム問題だ。そこで全国の温泉地から厳選したインバウンドの少ない名湯7カ所を紹介しよう。【取材・構成=石鍋健太/ライター】
***
【写真を見る】プロが選んだ「インバウンドの少ない温泉」7選を一挙紹介!
昨今のインバウンドは「爆買い」よりも「コト消費」に熱を上げているとか。
その中でも「温泉宿で露天風呂に入る」ことへの関心が高まっているという。
昨年末、株式会社ナビタイムジャパンがインバウンド向け道案内アプリの利用状況を分析した結果、欧米豪からの旅行者に最も人気のある温泉地は箱根湯本温泉(神奈川県箱根町)、アジア人旅行者からは由布院温泉(大分県由布市)がトップ。その他上位には登別(北海道登別市)、草津(群馬県草津町)、南紀白浜(和歌山県白浜町)、城崎(兵庫県豊岡市)などが並んでいた。
これら日本人にも人気の温泉地は、今冬もインバウンドでにぎわうことが予想される。大浴場に入る習慣の少ない彼らが大挙して押し寄せればトラブルも増えよう。温泉街も人であふれ返って風情も薄れることになりかねない。
ではインバウンドが少ない温泉地とはどんなところだろう。前述の調査で上位にランクしている温泉地は、軒並み大都市や主要空港からアクセスしやすいところばかり。それではと大都市から遠く、かつ公共交通網の脆弱(ぜいじゃく)な温泉地を取材したところ「インバウンドはほぼ見かけない」「オーバーツーリズムとは無縁」といった声が聞こえてきた。
秘湯一軒宿と日本最北「手延べうどん」
中国、台湾をはじめ欧米人にも大人気の北海道で、まだインバウンドがほとんど訪れていない温泉地がある。今年で開湯120周年を迎えた森の中の一軒宿「五味(ごみ)温泉」。1905年に御料地を管理していた五味勘三郎氏が発見したとされるこの温泉の泉質は、北海道では貴重な含二酸化炭酸水素塩泉。肌に炭酸ガスの気泡がまとわりつき神経症や皮膚病に有効とされる。
車なら札幌市内から約3時間半。公共交通機関の利用であれば、JR札幌駅から特急利用で約2時間半かけて宗谷本線の名寄(なよろ)駅へ行き、そこからバスで約25分。インバウンドが訪れるには難度が高そうだ。
実際、温泉施設の運営母体である一般財団法人下川町ふるさと開発振興公社の藤原真梨菜さんに聞くと、
「年間通してインバウンドの方は両手で数えられる程度しか来ません。知る人ぞ知る隠れ家的な場所なので、日帰りで立ち寄る50~60代の常連の方が圧倒的に多く、日によってはそうしたお客さんでやや混雑します。初めての方には、最も人の少ない午前10時の開館直後に来館されることをオススメします」
朝から夕方まで滞在する猛者もいるそうで、
「温泉に漬かったり、サウナに入ったりを繰り返す。合間にマッサージチェアでくつろいだり、食堂でお昼を取ったり、休憩室でごろ寝したり、心行くまで休んで日頃の疲れを癒やしてもらえれば」(同)
ちなみに五味温泉のある下川町は「日本最北端の手延べうどん」が名物として知られる。下川町産小麦を使った麺はなめらかでほのかに甘く、実に美味。町内の飲食店でも食べられるが、乾麺をお土産にすれば家でも旅気分に浸ることができる。
[1/4ページ]



