「高校に学食あった?」への反応は地域によって大違い…「都立高」はゼロなのに「大阪府立高」は134校で設置のナゾ 専門家は「学食に大きな教育効果」を指摘
きつねうどんが300円
20都道府県のうち、「学食はある」と回答したのは11府県。「学食はゼロ」と回答した自治体は東京都、愛知県、茨城県、新潟県、岐阜県、栃木県の1都5県だった。
さらに「把握していない」と回答したのが北海道と長野県、「未調査で不明」と回答したのが岡山県──という結果だった。
アンケート調査の結果、ベスト3を大阪府、福岡県、兵庫県が占めた。そのため“西高東低”というイメージを持つ人も多いのではないだろうか。また関東地方の都・県立高校では学食が少ない傾向が顕著であり、その一方で埼玉県だけが60・6%で5位というのも非常に興味深い。
学食の割合が高い自治体の高校受験生は、志望校の学食に強い関心を持つようだ。インターネットの掲示板には具体的な高校名を挙げ、「学食のメニューと値段を教えて下さい」との質問が散見される。
こうした関心を把握したのか、積極的に学食のメニューや値段をPRする県立高校もある。また県立高校の生徒が学食のメニュー画像をSNSに投稿したり、地元紙が県立高校の学食を取材した記事が人気を博していたりする。
こうした学食に関する情報をインターネットで調べていくと、驚かされるのは値段の安さだ。インフレが進んでいるにもかかわらず、きつねうどんで300円、オムライスで500円、日替わり定食でも400円──という具合だ。高校の学食は極めて良心的な価格設定になっていることがよく分かる。
定時制高校の「給食」が与えた影響
それにしても東の東京都はゼロで、西の大阪府は合計134校という“地域格差”は、なぜ生まれたのだろうか。高校における学食の歴史を調べた経験を持つフードライターは、「色々と調査したのですが、よく分からなかったというのが結論です」と苦笑する。
「ただ取材を重ねて浮かび上がったのが、定時制高校で給食を出すために設置された『調理室』が大きな影響を与えた可能性です。かつての都道府県立高校では、1つの高校で全日制と定時制を兼ねるところが珍しくありませんでした。学校給食法は定時制高校での給食提供を努力義務に定めています。そのため高校の中に調理室を作り、その運営を民間業者に委託する自治体もあったようなのです」
高校の校内で調理室が稼働を始めると、「これなら全日制の生徒にも食事を提供しよう」との流れになった可能性があるという。
「こうして『学食としての昼食』と『給食としての夕食』を提供する高校が現れたと考えられます。ところが次第に定時制高校に通う生徒の数は減少し、高校再編で全日制だけの高校が増えていきます。その際、定時制を募集停止にしたため調理室を閉鎖した地域と、定時制を募集停止にしても全日制の学食は残した地域に分かれたのではないか、というのが私の推測です」(同・ライター)
[2/4ページ]


