新幹線で絶えない外国人観光客の「スーツケース」トラブルは解消されるか…JR東海が打ち出した「3つの対策」予想以上の効果とは

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 11月7日、高市早苗首相は衆議院の予算委員会で台湾有事は「日本の存立危機事態になり得る」と答弁した。これに中国は猛反発し、日本への観光旅行や留学を自粛するよう自国民に要請、中国本土からの観光客は減少傾向を示しているようだ。しかし少なくとも東京・京都・大阪といった大都市圏では「外国人観光客の総数は依然として多い」との調査結果や報道が伝えられており、年末年始の帰省シーズンを前にXなどのSNS上では、オーバーツーリズム(観光公害)の被害を訴える投稿が今も相次いでいる。

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「オーバーツーリズムに起因している」と、やり玉に挙げられるトラブルは多岐にわたるが、SNSで言及される代表的な苦情の一つに「スーツケース」がある。日本人がどんな不満を持っているのか、Xから見てみよう。

《巨大スーツケースのせいで一般人の乗り降りすら支障をきたしてるのが今のオーバーツーリズム》、《地下鉄に乗ると京都駅から多くの外国人さん乗車 相変わらず大きなスーツケース2つ持って オーバーツーリズムは何にも解消して無い》、《本当にさ、外国人観光客のスーツケースは1人1個と厳しく決めて欲しい》──。

 たかがスーツケース、と言う方もいらっしゃるだろう。しかし、この問題は世論を喚起する力が非常に強いことをご存知だろうか。複数のメディアが外国人観光客のスーツケースを巡るトラブルを報じただけでなく、スーツケースがもたらす“軋轢”が、企業価値を揺るがしかねない事態に発展したことさえある。

 JR東海と言えば、鉄道業界だけでなく日本を代表する企業の一つだ。そんな“リーディングカンパニー”に外国人観光客のスーツケースを巡って“炎上リスク”が急浮上したことがあるのだ。

「特大荷物」を巡る苦情

 オーバーツーリズムの問題に詳しいフリーライターは「特に今年9月から10月にかけて、『東海道新幹線に乗る外国人観光客はスーツケースのマナーを無視している。非常に迷惑だし、JR東海は放置して対策を講じていない』との苦情がSNSに殺到しました」と振り返る。

「苦情はSNS上であっという間に拡散しました。複数のネットメディアが相次いで記事を配信したのも、この時期にあたります。外国人観光客に対する批判として目立ったのは【1】スーツケースを新幹線の通路に置いて通行を塞ぐ、【2】自分が購入した指定席に勝手にスーツケースを置かれた、【3】背後の外国人観光客が座席と座席の間にスーツケースを置いたため、リクライニングが使えなかった──主にこの3点が中心で、この傾向は今も続いています」(同・ライター)

 さらに「事前予約が必要な『特大荷物スペース』と『特大荷物コーナー』を外国人観光客は予約なしで使っている」という4点目の指摘も浮上した。

 上記の3点とは異なり、この4点目は東海道新幹線の利用頻度が高いと考えられる日本人乗客が問題視する傾向が認められた。

 旅慣れた日本人が「なぜJR東海は特大荷物の問題を巡ってルールを守らない外国人観光客に注意・指導しないのか」と批判を強めたというわけだ。

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