投票拡大のため空爆、SNS批判で懲役7年、拒否なら資産没収… やりたい放題の総選挙にミャンマー国民の絶望
徴兵拉致、刑務所でも投票が強要
いまのミャンマーでは徴兵拉致が横行している。兵力が不足している国軍は、若者を拉致し、国軍に送り込んでいる。国軍に送り込まれた子供を連れ戻そうとすると、莫大な賄賂を要求される。ヤンゴンで働く若者はその危険のなかで生きている。小売店で働くTさん(24)はこういう。
「はじめは投票のために実家に帰るつもりはなかったんです。しかし子供が帰らないと、親に圧力をかけてくる。家や家畜を奪われるかもしれない。親は投票に帰ってきてほしいようなんですが」
12月に入り、期日前投票がはじまった。ヤンゴンのインセイン刑務所でも、投票が強要された。応じないと独房監禁などの処罰の対象になるという通達があったという。
12月7日、軍政が任命した選挙管理委員会は1回目と2回目の選挙を行うことを予定している計202郡区のうち、2931地区で選挙ができないと発表した。
そのエリアへの空爆は、選挙が近づくにつれ激しくなっている。3回目以降の選挙での支配エリアを増やそうとしているのだ。12月10日、ラカイン州の古都、ミャウーでは中核病院が空爆され、38人の患者や病院関係者が犠牲になった。Mさんの出身地であるザガイン管区では、12月17日、エーヤワディー川周辺に30回の空爆に見舞われ、7人が死亡している。
「民意を無視した選挙を実施するために、国軍はどれだけの市民を殺害するのか」
とMさんは沈んだ声で語る。
あまりにいびつな総選挙は、12月28日に1回目の投票が行われようとしている。
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