「喫茶店でシクシク泣き始めて…」 名古屋主婦殺害、夫が明かす容疑者の“異様すぎる執着” 「再会で情動が一気に噴き出した可能性が」 精神科医が指摘

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「高羽さんの知っている人です。誰だか分かりますか?」

 1999年、名古屋市西区の自宅アパートで高羽奈美子さん(当時32歳)が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された安福久美子(69)容疑者。名古屋地検は11月14日から、刑事責任能力の有無などを調べるため、鑑定留置を実施している。自ら出頭し、取り調べにも素直に応じているものの、いまも殺害した動機は謎のまま。高羽奈美子さんの夫・悟さんの証言や、精神科医の分析と共に、改めて事件の背景に迫る。

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(「週刊新潮」2025年11月13日号掲載の記事をもとに、加筆・修正しました。肩書、年齢などは当時のまま)

「10月31日の14時過ぎ、刑事さんから“今夜、犯人を逮捕します”と告げられました。“誰か?”と尋ねると、私の知り合いだという。“高校時代の同級生か?”と問うと、“当たりです”との答えが返ってきました。そこで私がある名前を挙げると、“なぜ分かったんですか”と刑事さんは驚いていました。逆恨みされるとしたら、彼女しかいないと思ったのです」 憔悴した面持ちながら、張りのある声でこう話すのは高羽悟さん(69)である。

 妻・奈美子さん(32=当時=)が、愛知県名古屋市西区の自宅アパートの一室で殺害されたのは1999年11月。26年の時を経て、愛知県警は先月31日、奈美子さん殺害容疑で名古屋市に住む安福久美子を逮捕した。

急転直下の逮捕劇

 鋭利な刃物で首を数カ所刺された奈美子さんの死因は失血死だった。傍らにいた当時2歳の長男・航平さん(28)の目の前で絶命したという。

「玄関を中心に大量の血痕が残されていたことから、奈美子さんはドアを開けてすぐに襲われたとみられています。安福は“犯行の際に手にケガを負った”とも供述しており、実際、アパートから北東方向へ約500メートルにわたって血痕が点々と残されていました。発生からほどなくして、現場周辺で腕を隠すように走り去る中年女性の目撃情報が寄せられ、“年齢40〜50代の女”“血液型はB型”などといった犯人像も報じられました」(全国紙社会部デスク)

 逮捕は間近とみられたが、捜査線上に安福の存在が浮上することはなかった。

 転機となったのは事件から25年の節目を迎えた昨年、新たな捜査方針が打ち出されたことだった。

「学生時代の部活動のOB会名簿などを基に、悟さんの交友関係を一人ずつ捜査員がつぶしていったのです。その中に安福も含まれていて、今回の急転直下の逮捕劇へつながりました。高校の同級生だったこともさることながら、何より驚いたのは、犯人がこの間、変わらず名古屋市内に住み続けていたことです」(地元紙記者)

 安福容疑者が犯行時に住んでいたマンションは、西区のアパートから直線距離にして約10キロ。同マンション住人が言うには、

「控え目な印象の女性でした。周囲とは、エレベーターで会えばあいさつを交わす程度の交流しか持っていなかったと思います。覚えているのは、同年代の旦那と子供2人の4人家族だったということです」

 一家がこのマンションから約450メートルの距離にある一軒家へと移り住んだのは約10年前。近隣住民は、

「ここは旦那さんの実家です。引っ越し時にあいさつに来た旦那さんが“町内会の会費などについてはすべて自分を通してください”と言って、以降、会の組長仕事なども主に一人でこなしていました。ニュースを見て、奥さんがまるで人目を避けるように暮らしていた理由が分かったような気がしました」

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