玉木氏悲願成就で「気分はもう与党」 国民民主と自民の間を取り持つ「ASライン」
予算に賛成
高市早苗首相(自民党総裁)と国民民主党の玉木雄一郎代表は18日に党首会談を行い、課税最低限を178万円に引き上げることなど、いわゆる「年収の壁」をめぐる合意書を交わした。その中には2026年度予算案について「年度内の早期に成立させる」とある。予算への賛成は与党の補完勢力と見なされるのが通例だ。国民民主は「気分はもう与党」なのか。両党の関係性を理解するためのキーワード「ASライン」に絡めてお伝えする。
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年収の壁はガソリン暫定税率廃止と共に国民民主が実現を求めてきた政策で、玉木氏は「動かしたのは民意だ。国民のみなさんから託されたミッションが、コンプリートしたということで、1つの区切りを迎えることができたことはよかった」「(高市首相との間で)『ともに関所を乗り越えていこう』ということでやってきたが、ともに乗り越えることができた」と高揚感をもって述べた。
喜びもひとしお
高市氏は「合意は政治の安定を望む国民のためにも両党の間で何とか関所を越えようと知恵を絞ってもらった結果だ。しっかりと協力していきたい」と述べた。
「玉木氏としては悲願の達成で喜びもひとしおでしょう。年収の壁突破を図っても自民税調の壁に阻まれて苦杯をなめてきました。高市政権ができて税調のしがらみがなくなり、税調に8年にわたって君臨して減税を阻むラスボスと揶揄された宮沢洋一参院議員が更迭されたところから風向きが変わりました」
と、政治部デスク。税調の血が入れ替えられ年収の壁突破の素地ができたわけだ。
「その意味では玉木氏は高市氏にいくら感謝してもしすぎではないということです。が、高市氏にはまた違った目論見がありました。多数派工作です」(同)
多数派工作の話に入る前にこれまでの経緯をざっと振り返っておくと、自民と国民民主は麻生太郎副総裁と榛葉賀津也幹事長とのホットラインを生かし、岸田文雄内閣時代から連立を模索してきた。
ASライン
「高市氏が総裁選に当選した今年10月の段階でも麻生氏の後ろ盾を受け、高市氏は国民民主にアプローチしました。それは公明党が連立離脱するきっかけにもなりましたし、国民民主とも連立を組むには至りませんでしたが」(同)
「麻生・榛葉両氏のホットラインは頭文字のアルファベットを取ってASラインとも呼ばれており、とにかくかたい契りで結ばれています。このラインで事実上、年収の壁で合意を見られるなら国民民主が2026年度予算に賛成することが確約されました。これを受けて高市氏も前のめりになって行ったということです」(同)
麻生氏は高市内閣の生みの親とされており、高市氏の動きもむべなるかなというところだろう。
現在、自民と連立を組む日本維新の会は衆院定数削減をテーマに連立離脱をにおわせている。自民はそういったラディカルな姿勢を踏まえて、別の連携先を模索してきた。その筆頭が国民民主だ。
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