「中学生まではダメ」「むしろ無菌状態のほうが危ない」…小学生のわが子からスマホをねだられた親が頭を抱える“本当の理由”

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 第1回【今や小学3年生でも「自撮り」「鍵垢」「バズる」「なりすまし」といった言葉は常識…低学年の子どもにとって「スマホが憧れの対象」で本当に大丈夫か】からの続き──。小学生向けのマンガ雑誌には、SNSのアカウント作成や自撮りのやり方を懇切丁寧に解説した特集が掲載されることもある。そうでなくとも、マンガ自体、あるいはSNS上の動画には頻繁にスマートフォンが小道具として登場する。【井上トシユキ/ITジャーナリスト】(全3回の第2回)

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 家庭内では両親はもちろん、年嵩の兄弟姉妹や親戚のお兄ちゃん、お姉ちゃんがしょっちゅうスワイプやらタップやらをしている様を見せられている。旅行へ行けば、親がスマートフォンを手放さず、しきりに写真を撮っている。好奇心が旺盛な小学生が興味を持つのは、しごく当然の成り行きだ。

 そこでまた、親の悩みがひとつ増える。小学生にスマートフォンを持たせるのが良いのかどうか、持たせるならいつからなのか。ママ友の間では、わりとよく上がる話題なのだという。

 子どもが最初にスマートフォンに興味を持つのは、やはり親が使っているのを見ることからだ、との声は親側から異口同音に聞かれた。親もわかってはいるのだ。

「だいたいの子どもは、小さい頃から音が出るものには見境なく興味を示すんです。メールやSNSの着信音から興味を持って、ゲームや動画を見せようものなら、しきりに触りたがるようになりますね」(ある母親)

 筆者自身、幼い頃にやたらと黒電話に興味を示していた、と両親や祖母から聞かされたことがある。音色の違うさまざまな着信音がして、しかも電話の機能もあるスマートフォンなら、子どもにとっては尚更であるに違いない。

小5は「スマホの新機種を見たい」

 興味を惹きつけられると同時に、親をはじめとした周囲の歳上連中が決して手放そうとしないスマートフォンは、格好の観察対象でもあるのだろう。もしかしたら、そうしたなかでスマートフォンのある生活が幼い脳内にインプリンティングされてしまっている可能性まである。

 東京23区の北部に住む母親のAさんは小学校4年生の娘がスマホを厚紙や色紙で自作して衝撃を受けた。

 そのAさんと同じく東京23区の西部に住むBさんは、小学5年生の娘にスマートフォンをいつ買い与えるか悩んでいる。夫婦の間では、中学生になったら仕方ないと申し合わせているのだが、娘と仲の良い友人が親のお古をもらい、それを見せてもらったと話してきたことがあった。

「もともと、私や夫のスマートフォンに関心は持っていましたけど、その日以来、あの子も持っているのだから自分も持ちたいと、ハッキリ言ってくるようになりました」

 買い物などに同伴して外出し、携帯電話ショップを見つけると、わざわざ「新機種が出たんだって。どんなのか見たい、見るだけならいいでしょ」と袖を引っ張って店に誘導しようすることもあるという。だが、SNSでの炎上や異性とのトラブル、迷惑メールなどのネガティブファクターを考えると不安しかないと、Bさんは表情を曇らせる。

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