「やめなさい」は逆効果…スマホ依存の子に言ってはいけない「NGワード」と心理的ワナ
具体的な期間に換算
しかし、単に「1日に2時間使っているね」と事実を伝えるだけでは、「2時間くらい、別に問題ないでしょう」と反発されて終わってしまう可能性があります。そこで重要なのが、その時間をより具体的な期間に換算して伝えることです。
例えば、「1日平均2時間の利用」は、1年間で合計730時間、日数にして約30日間、つまり丸々1か月間を朝から晩までスマホに費やしている計算になります。もしこれが1日4時間であれば、その期間は2か月にも及びます。
このような具体的な数値で示されると、小学生や中学生であっても「さすがにそれは長すぎるかもしれない」と、自身の時間の使い方について真剣に考え始めるケースが多いです。
利用時間の客観視ができたら、その時間が自分の生活にどのような影響を与えているかを、子ども自身に振り返らせます。このとき、親は問い詰めるような態度ではなく、あくまで子どものサポーター役に徹することが大切です。
「最近、少し寝るのが遅くなっていない?」「以前は熱中していた部活動を、なぜやめてしまったんだっけ?」「大好きだった読書の時間が減っていないかな?」など、優しく問いかけ、子ども自身の言葉で現状を語らせるのです。
もし、睡眠不足や学業の遅れ、趣味の時間の減少といった具体的な弊害が明らかになったなら、それはスマホの使いすぎによって、自分にとって大切なものが失われているサインかもしれません。その事実に子ども自身が気づき、「このままでいいのだろうか」と自問することができれば、利用習慣を見直すための大きなきっかけとなります。
スマホの過度な使用は、時に精神的に不安定な状況を引き起こし、稀なケースではありますが、暴力や自傷行為といった深刻な問題につながることも報告されています。心身に不調が現れてもなお使用をやめられない場合、すでに依存状態に陥っているサインかもしれません。
親の役割は、子どもの生活や心身の健康が深刻なダメージを受ける前に、適切なコントロールができるよう手助けすることです。それは、自転車の乗り方を教えるプロセスと似ています。親がまず交通ルールや安全な乗り方を学び、公園で十分に練習させてから公道に出すように、スマートフォンとの付き合い方においても、まずは親自身が正しい知識を身につける必要があります。
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第2回【スマホを持たせる「最悪の時期」は? 専門家が教える、子どもの将来を左右する“適切なタイミング”】では、スマホを持たせるタイミングなどについて語っている。
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