「やめなさい」は逆効果…スマホ依存の子に言ってはいけない「NGワード」と心理的ワナ
大切なのは「自覚」
近著『スマホで受験に失敗する子どもたち』(星海社新書)で、子どものスマホ依存に警鐘を鳴らすITジャーナリストで成蹊大学客員教授の高橋暁子さん。子どもに「やめなさい」と一方的に強制しても、利用時間は減らないのが実態だと指摘する。では、どうすれば子どもをスマホ依存から守ることができるのか。(全4回の第1回)
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講演会などで子育て中の保護者の方々とお話しすると、ほぼ例外なく寄せられる共通の悩みがあります。それは、「うちの子が片時もスマホを離さないんです」「『やめなさい』と注意しても全く聞かないのですが、どうしたらいいでしょうか」という、子どものスマホ利用に関するご相談です。
この問題に取り組む上で、まず認識しておくべき重要な心構えがあります。それは、子どもたちは第三者から一方的に「やめなさい」と命令されても、本人が納得しなければ行動は変わらない、ということです。
子どもたちがスマホに夢中になり、「何が悪いの? ただ楽しいだけじゃん」と感じている状態で、外部から無理に制限を加えようとすると、かえって強い心理的反発、いわゆる「バックファイア効果」を引き起こしかねません。これは、自分の信念や行動を否定されると、むしろその考えに固執してしまう心理現象です。
結果として、「やめなさい」という言葉が逆効果となり、子どもが自ら利用習慣を改めようとする意欲を削いでしまうのです。
では、どうすれば良いのでしょうか。鍵となるのは、子ども自身が「スマートフォンの使い方を、少し見直した方が良いかもしれない」と自覚することです。これを手助けするのに効果的なアプローチが、利用時間を客観的に把握する「見える化」です。
まずは、お子さんのスマホに搭載されている利用時間管理機能(iPhoneの「スクリーンタイム」やAndroidの「デジタルウェルビーイング」など)を有効にし、実際にどのくらいの時間を使っているのかを、確認できるように設定してみてください。多くの場合、子どもたちは自分が想像している以上に長い時間を使っている事実に驚き、「あれ、思ったより長く使っているな」という気づきを得るはずです。
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