「AI銘柄」大暴騰でも「“期待”ばかりで実際に儲かったという話がない」 専門家たちが危惧する「AIバブル」がはじける日
「ビッグテック」と呼ばれる巨大IT企業たちが開発にしのぎを削る「生成AI」は、新時代のインフラになると言われている。一方であまりにも急速な成長スピードが、投資家に不安を与えてもいる。AI関連企業はブームで株価は膨れ上がっているが、実はまだそれを正当化するほどの収益が付いてきていないというのだ。過熱するAI市場が抱える「バブル」のリスクを徹底検証する。
※本稿は「週刊新潮」2025年12月11日号の特集記事【Googleは「過去最高収益」、株価を左右する巨大IT企業… 「AIバブル」が崩壊するこれだけの理由】の一部を再編集したものです。
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何かと話題の「生成AI」関連株を巡って、マーケットで期待と不安が交錯している。10月に日経平均は史上初となる5万円超えを果たしたが、一転して11月は8カ月ぶりに下落した。こうした乱高下の背景にも、現在の市場を牽引するAIブームが「バブル」ではないかと疑う、投資家たちの根深い懸念があるという。
経済部記者が語る。
「証券会社などによると、日経平均4万円から5万円への上昇分のうち、AIに莫大な投資をしているソフトバンクグループ(SBG)、半導体関連企業のアドバンテストの2社の成長分が51%を占めたそうです。少数のAI関連銘柄が、相場に大きな影響を及ぼす状況になっています」
ハイクオリティな応答や画像、動画の生成が可能なAIの開発には、GPUという半導体チップが欠かせない。その製造分野にいち早く参入し「一強」と言われてきた米エヌビディアは、10月末に時価総額が世界の企業として初の5兆ドル(約760兆円)に達した。11月19日に行われた決算発表には投資家たちの注目が集まり、相場に変動をもたらした。
「エヌビディアはチャッピーこと『ChatGPT』の開発企業・オープンAIに最大1000億ドル(約15兆円)もの投資を決定しており、そうした“流血”に見合う利益が付いてくるのか、不安視されていました。しかし決算内容は市場の期待を大きく上回るもので、CEOのジェンスン・フアン氏(62)は投資が『並外れた利益になると確信している』と自信を見せた」(同)
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