「AI銘柄」大暴騰でも「“期待”ばかりで実際に儲かったという話がない」 専門家たちが危惧する「AIバブル」がはじける日

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AIサービスの収益がない

 駒澤大学経済学部の井上智洋氏は、投資家の思惑をこう分析する。

「昨年のノーベル化学賞は、グーグル関連会社のAI研究者が受賞しました。AIを活用してタンパク質の構造を予測し、創薬の可能性を広げたのです。今後もこうしたAIによる発見やイノベーションは相次ぐと予想され、少数の巨大IT企業が、その利益を寡占する可能性があります」

 加えて今後はAIが進化し、人間ができる知的作業なら全てこなせる「AGI(汎用人工知能)」が誕生するとも言われている。

「AIを秘書のように使う“AIエージェント”が普及すれば、ビジネスの場で使わざるをえません。そうでないと、企業の生産性に圧倒的な差が出てしまうからです。データセンターやAI開発の技術を持たない国は、ビッグテックに金を払い続けることになります。一部の産油国から石油を買い続けるのと同じです」(同)

 そうであれば、あまりにも大きい“果実”であることは論を俟(ま)たないだろう。

 一方でブームを牽引する当事者たちの目にも、現在の市場は行き過ぎに映っているようだ。

 グーグルのCEOスンダー・ピチャイ氏(53)はインタビューで、AIが今後インターネットと同じように不可欠のものになると語りつつも、現在の市場に「不合理な要素がある」と認めた。先の黒坂氏もまた、AIには「バブル」の側面があると見る。

「グーグル、アマゾン、フェイスブック(現メタ)、アップルのGAFAにマイクロソフト、テスラ、エヌビディアを加えた7社は“マグニフィセント7”(M7)と呼ばれ、ここ10年のアメリカ市場を席捲してきました。AIブームも加わりその株価は膨れ上がっていますが、実はまだそれを正当化するほどのAIサービスの収益がないのです。財務諸表を読み込んでも“期待”ばかりで実際に儲かったという話がありません」

 たとえばオープンAIは月額20ドルでより高性能な「チャッピー」を使えるサブスクを提供しているが、利用者の95%が無料会員。一方で売上高の70倍もの額をデータセンターや研究開発に投資しており、24年の赤字は50億ドル(約7750億円)にのぼると言われる。

「もちろん今の生成AIも、遊びで触れる分には感心できます。一方で4桁×4桁の単純な計算でもミスすることがあり、重要な仕事には導入できない。それに現実の社会には、AIが学習できない、データ化されていないものの方が圧倒的に多い。たとえば部屋の明るさ一つとっても、ルクスという単位で数字とデータに変えなくては学習できません。膨大な現実社会の情報を人間が全てデータ化するのは難しく、学習に限界があります。このままでは“成長しない新入社員”どまりということもありえる」(同

 有料版の記事【「AI銘柄」大暴騰でも収益がついてきていない… 事業者たちがとらえた「AIバブル」崩壊の“前触れ” とは】では、「AI銘柄」への過度な期待の危険性や、AI企業の決算における欺瞞などについて詳しく報じている。

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