「ミルクあげるのもったいないね」「うん、そうだね」…00年発覚の愛知3歳女児餓死、裁判で明らかになった虐待の生々しさ

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夕食は3、4日おきに1回

 父親は、育児を母親に任せきり。以前にクモ膜下出血したAちゃんの成長が思わしくないと感じると、1年半後に生まれた長男だけを可愛いがる。母親もそれに歩調を合わせた。

〈朝食を与えなくなり、昼食は1日おきに被告人Cと長男が食べた弁当のおかずの残りなどを……〉

 そして、Aちゃんが悪戯で部屋を汚すと……。

〈段ボール箱に被害者の両手首を後ろ手に、更に両足首もビニールひもで縛って押し込め……〉

 当然、Aちゃんは弱るが、食事はより劣悪になる。

〈3、4日おきに夕食1回でスティックパン1、2本と粉ミルク……〉

 罪状認否で父母は殺意を否定し、殺人罪を逃れようとしている。だが、では、この育て方で子供が生きると思ったかと聞きたい。女児の死亡直前、この夫婦は、「Aにミルクあげるのもったいないね」「うん、そうだね」とまで話しているのだ。

(以上、「週刊新潮」2001年3月29日号掲載記事より)

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最高裁の上告棄却により判決が確定

 2002年10月30日、名古屋地裁は父Bと母Cに対し懲役7年を言い渡した。争点となったのはネグレクトによる餓死が殺人罪にあたるか否か。石山容示裁判長は「未必の故意があった」として殺人罪の成立を認定した。当時、この事件に近いケースでは先に2件が殺人罪と認定されていた。

 被告側はストレスなどを理由に「思考停止状態に陥っていた」として、保護観察付きの執行猶予を求めて控訴。名古屋高裁は2003年10月15日、名古屋地裁判決を支持して控訴を棄却した。最高裁も2004年3月30日付けで上告の棄却を決定し、殺人罪(未必の殺意)を適用した判決が確定した。

 第1回【3歳女児餓死事件から25年 「殺人罪」に問われた21歳夫婦の所業…祖母が漏らした本音「子供が子供を産んだようなもの」】では、Aちゃんが受けていた虐待の実際や、BとCの生い立ちなどを伝えている。

デイリー新潮編集部

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