“許されない恋心”を抑えるために…妻を使って歪んだルーティーン 彼女に会う前日に46歳夫が必ずすること

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「愛してはいけないとわかっている」

 大学を卒業した遙香さんは都内の企業に就職した。彼は自ら彼女の保証人となり、アパートも借りた。家賃は彼が支払っている。

「それから月に数回、遙香と会っています。もちろん、父親代わりとして。だけどいつの間にか、僕は遙香を愛してしまった。もちろん親友の娘だから、愛してはいけないとわかっている。しかも彼女はまだ若い。彼女にふさわしい人は他にいることもわかっている。それでも自分の気持ちは止められない」

 密かに愛していこうと、ある日、決めた。彼女は平然と「家に来て」と言って料理を作ってくれたりする。母の飲食店を手伝っていただけあって、遙香さんの料理は「とんでもなく」おいしい。だがその好意に甘えてはいけないとも思っていた。

「あるとき彼女に言ったんですよ。若い女性のアパートを訪ねるのはよくないと思う、だから外で会おうと。でも彼女は『私は両親の若い頃の話を聞きたいんです。久斗さんしか教えてくれる人はいない。話を聞けば私は泣いたり取り乱したりすることもある。外だと落ち着かないし、久斗さんも本音では話せないでしょう』と。遙香の言うとおりでした」

 通い続ければ、いつか自分が本能に忠実になってしまう恐れがあった。妻の陽子さんとは10年近くレスの日々が続いていたのだが、彼は思いきって、ある晩、妻を誘った。「今さらなによ」と言いながら、妻の反応は悪くはなかった。それ以来、妻との性的関係が復活し、久斗さんは遙香さんに会う前日は必ず妻を抱いた。

「妻を抱きながら、都美か遙香かと思うこともありました。それでも遙香への思いが自分の中で熟成していくというか濃縮されていくというか、そんな感じがしていた。暴走してはいけないと思いながら、自分を止める術が見いだせなかった」

遙香さんの気持ちは

 自分を思いとどまらせようとする胆力が、他者からは魅力的に見えたのだろうか。2年ほど前、仕事で知りあった同世代の女性と親しくなり、あっけなく深い関係になった。彼女も既婚だが、夫とはレスで自分には魅力がないと悩んでいると打ち明けたのだ。そんなことないと慰めているうち、「私を女として見られる?」と聞かれて実行に移すしかなくなった。

「ところが思いのほか、体の相性がよかったんです。お互いにびっくりするくらいだった。それから定期的に会うようになりました。遙香に会う前は、必ず妻かその人妻と関係をもつ。そうやって自分を律するしかなかった」

 だが遙香さんにも「思い」はある。1年ほど前、遙香さんは「久斗さんは私のことをどう思っているんですか」と聞いてきた。

「親友の娘だときっぱり言うしかなかった。オレは和輝の代わりだよと。遙香は『私にはそうは思えない。父は父、久斗さんは久斗さんです』って。『母は本当は久斗さんのことが好きだったような気がする』とも言っていましたね。その言葉を、都美から30年前に聞きたかった……。そうすれば誰も死ななくてすんだかもしれない。そう考えるのは傲慢かもしれないけど」

 別れ際に遙香さんが「寂しい。帰らないで」と抱きついてきたこともある。きみはもう大人なんだから、ちゃんとボーイフレンドを見つけなくちゃダメだよとやんわり押し返したが、その晩、彼は妻のベッドに潜り込んだという。

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