“許されない恋心”を抑えるために…妻を使って歪んだルーティーン 彼女に会う前日に46歳夫が必ずすること

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母子と連絡がとれなくなり…

 5年ほど前、遙香さんが20歳を迎えたと気づき、都美さんに連絡をしたが、携帯電話がつながらなかった。嫌な予感がした。久斗さん自身は結婚後、実家から離れたところに住んでいたので久々に実家に戻ったついでに、都美さんの実家の様子をうかがってみると、もはや家はなかった。母に尋ねたところ、「もうずいぶん前に、両親が施設に行ったと噂になっていた」という。どうして知らせてくれなかったんだよと言ったが、母親は都美さんの両親と親しかったわけではないので、要領を得なかった。

 それからほどなく、久斗さんの会社にひとりの女性が訪ねてきた。ちょうど外出から戻ってきた久斗さんは、受付でばったり彼女に遭遇した。20歳になった遙香さんだった。

「最後に彼女に会ったのは高校生のとき。しかもそのときは僕が行ったら、彼女がちょうど帰宅したところで、挨拶するとすぐに用があると出かけて行ってしまって。きちんと会うのは3年ぶりくらいでした。きれいになっていたけど、こんな華奢な子だったかなと記憶とは違っていた。うまく微笑むことができず、どこか寂しそうな表情で『ごぶさたしてます』と頭を下げていました。『お母さんは元気なの?』とすぐに聞くと、『亡くなりました』と。心のどこかで、やはり……と思った。遙香の目がみるみるうちに潤んできたので、外に出ようと会社近くのカフェに移りました」

都美さんの死の真相

 遙香さんによると、都美さんはずいぶん前から精神的に参っていたという。大学生の遙香さんは、母が少し疲れているようにしか見えなかった。都美さんは無理に無理を重ねて店を休まずにがんばっていたのだろう。とうとう起き上がれなくなったとき、娘は母を病院に連れていき、うつ病だと知った。

「2ヶ月ほど入院したらかなりよくなったので、退院したそうです。でもある日、遙香さんが帰宅したら自宅に母がいない。おかしいと思って店に回ってみたら、厨房で自死していたと。すでに親戚もいなかったから、遙香はひとりで都美の葬儀をすませたと話してくれた。またもなにもできなかった。すまなかったと頭を下げました。遙香は『久斗さんは悪くないです』と笑みを浮かべた。和輝も都美もいなくなった。僕の青春もなくなってしまった。そう思いました」

 その直後、久斗さんの父が亡くなり、いくばくかの遺産が入った。彼は「大学をやめて働く」という遙香さんを説得して学費を出した。「せめてこのくらいはさせてほしい。きみの両親への僕の気持ちだから」と。

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