「“戦車”のような夫のそばを自転車で並走した」──小説家おしどり夫婦、吉村昭と津村節子の軌跡

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「文壇のおしどり夫婦」として知られる故・吉村昭氏と津村節子氏。2025年秋の叙勲で津村氏の旭日中綬章受章により、芸術選奨文部大臣賞、日本芸術院賞、菊池寛賞に続き、夫婦で同じ受賞(章)四つ目、という快挙となった。

 その輝かしい受賞(章)の背景には、夫婦でありながらライバルでもあった二人の長い軌跡がある。下積み時代、生活のために出かけた行商先・根室の海岸で、「ここで死にましょうか」と吉村氏につぶやいたという津村氏。それほどの苦難を乗り越えながら、夫妻そろって大作家に上り詰める。...

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