【香港火災】疑惑だらけ「防護ネット」 防炎基準を満たすものは低層階、それ以外は上層階に…「竹の足場」をスケープゴートにする“利点”の指摘も
防護ネットを巡る偽装と偽造
現在までに香港当局は、「窓に貼られていた発泡スチロールのシート」が速い延焼と温度上昇の原因となって窓を破壊、煙と炎が室内に流れ込んだとしている。竹の足場は燃えた一部が防護ネットに落下し、火が燃え移ったという見方だが、そもそも防護ネットの防炎性能とは火がついても大きく燃え広がらないことだ。
香港当局は1日までに男女15人を過失致死などで逮捕し、防炎基準を満たす防護ネットが使用されていたのは低層階だけだった事実を明らかにした。香港当局の抜き取り検査をクリアするため、業者側が2種類を使い分けていたのだ。
一方で香港メディアは、複数の団地が防護ネットの検査報告書を自主的に公開した流れを受け、中国内地の製造企業や検査センターへの取材を展開した。
ネットニュースメディア「香港01」は、別の団地の報告書に記載されている中国内地の検査センターが2019年に名称変更していたことを報じた。電話取材に応じた同センターの職員は、旧名称を使った2025年の報告書は「完全に偽造」と証言している。
つまり、宏福苑火災では抜き取り検査逃れの偽装が、別の団地では証明書の偽造が発覚したわけだ。となれば、そうした行為の横行を許した香港政府に対し、監督責任を問う流れが強まる状況は必然となる。
香港政府は2日、裁判官を委員長とする「独立委員会」の設置を発表した。法的権限を持つ「独立調査委員会」とは異なり、刑事捜査を含むすべての調査の迅速化と効率化に力点を置く委員会となるという。
一時は延期が予想された立法会の議員選挙は、予定通り7日の実施が決まった。この選挙の投票率が香港政府への評価を反映すると見る向きも多い。民間ボランティアを排除して金属足場の導入を急ぐ前に、宏福苑火災の“真実”を明らかにし、改めるべき部分を改めることこそ、政府批判を抑える最良の方法のようだ。
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